論文
日印経済連携による効果とその展望
日印経済連携による効果とその展望
はじめに
冷戦終結以降、国際協調が謳われ、1990年代には経済のグローバル化が急速に浸透しはじめた。この中で日本は世界にどういう立場を示すべきなのか、また積極的に国際経済に参画し、アジアのリーダーとしての役割を担うためにはどのような姿勢を示すべきなのかなど、以前からさまざまな議論がなされてきた。経済のグローバル化とは、外国資本の受入、外国企業との資本・技術面での提携、外国人労働者の受入を含めて機能的な結合・再編を合意とした概念である。国境という壁を取り壊したことにより、関税障壁や数量制限などの制度的マイナス要因を取り払った効率的な経済活動が可能となり、モノはもちろんのこと、ヒトまでもがこの制限から解放されるようになった。
インドはカースト制や宗教などといったイメージが先行しがちであるが、近年いわゆる新興国としての存在を高めつつある。それは1990年に始まったナラシマ・ラオによる経済改革に起因する。当時は冷戦終結による影響、湾岸危機、外資危機、政権不安など社会全体が不安定な状況にあったものの、現在では...