?はじめに
21世紀の社会は少子高齢化・高度情報化・技術革新・環境問題・グローバル化等が一層顕在化するといわれている。そして経済的・社会的な変化による消費意識と消費構造の変化、文化的な欲求の増加、交通及び通信の発達、高密度都市化と高度の産業化などの要因はショッピングセンター(以下SC)を根本的な販売機能から多元複合的機能に変貌させている。こうした意向に呼応し、生活者の自己満足度をいかに高めるかがSCの大きな課題となるのである。このためSCとしては、社会環境の変化に注視すると共に生活者のニーズの動向を見極め、アイデンティティの確立を基本に、差別化した商品の品揃え、交流の場の提供等、集客管理を充実させ、サービス(付加価値)に徹し、地域の生活者に目線を向けなければならないのである。
今日の生活者は厳しい社会状況にありながら、かつてない程の豊かな生活を送り、もはや満足はモノや単純なサービスの授受だけでは実現されない。あらゆる要素が複合化され、より高度な満足を作り上げるサービス経済化構造になっている。事実、一般的な支出費用構成においても衣食関連比率は減少し、文化・教育・娯楽・健康関連費の伸びが著しい。モノ消費を中心とする基本的な欲求が満たされた今日、文化的・社会的・精神的により高次元の満足が求められているのである。こんな中、今までのショッピング空間は販売中心の空間として画一的に運営されてきて、消費者に対する欲求を満たすには充分な役割を果たしたとは言い切れない。ショッピングセンターは販売空間という1次的な概念から脱皮し、消費者の行動理論、情報理論、環境美学、そして環境心理学などを通じて多角的な接近が計画されるべきである。
新たなSC開発戦略
―丸ビルに見る顧客満足と地域活性化政策の可能性―
Ⅰはじめに
Ⅱ日本のSCと消費環境
Ⅲ地域活性化政策と丸ビル
Ⅳ丸ビルの顧客満足戦略
Ⅴ結論
Ⅰはじめに
21世紀の社会は少子高齢化・高度情報化・技術革新・環境問題・グローバル化等が一層顕在化するといわれている。そして経済的・社会的な変化による消費意識と消費構造の変化、文化的な欲求の増加、交通及び通信の発達、高密度都市化と高度の産業化などの要因はショッピングセンター(以下SC)を根本的な販売機能から多元複合的機能に変貌させている。こうした意向に呼応し、生活者の自己満足度をいかに高めるかがSCの大きな課題となるのである。このためSCとしては、社会環境の変化に注視すると共に生活者のニーズの動向を見極め、アイデンティティの確立を基本に、差別化した商品の品揃え、交流の場の提供等、集客管理を充実させ、サービス(付加価値)に徹し、地域の生活者に目線を向けなければならないのである。
今日の生活者は厳しい社会状況にありながら、かつてない程の豊かな生活を送り、もはや満足はモノや単純なサービスの授受だけでは実現されない。あらゆる要素が複...