設 題
⇒文学という出来事について。
設 題
⇒文学という出来事について。
「文学という出来事について」という設題の意味するところは、「文学とは人にとってどのようなものなのか」であると解釈する。しかし、文学とは人によってその価値の大きさが異なり、一概に「文学とはこういうものである」と断定することはできない。従って本稿では、私が子供の頃から読んでいる2つの文学作品を例に挙げ、その作品から得たもの・教わったものなどを考察しながら、文学とは私自身にとってどのようなものであるか明らかにしていきたい。
「モモ」
まず、ミヒャエル・エンデの「モモ」(1973)を例に挙げる。
<あらすじ>
身寄りがなく、ぼろぼろの服を着た主人公の女の子モモは、ある都会の隅の円形劇場の廃墟に流れ着いた。そんなモモには不思議な力が備わっていた。それは、モモに話を聞いてもらうだけで、気持ちが晴れやかになるのだ。そして町の住人達は貧しいながらも皆でモモの面倒をみることにした。そんな平穏な日々に異変が起きる。灰色の男達が現れ、人々の時間を盗みはじめた。生活に合理化を求めるようになった町の人々はお金を稼ぐことに必死になり、時間に縛られる。生活は豊かになるが、一方...