はじめに
援助交際の実態を調べた本やテレビ番組を見て私が何よりも驚くのは、ごく普通の少女たちが、何のためらいもなく援助交際をして、それで得たお金で「今」を楽しんでいるという、彼女たちのその明るい姿である。「悪い」ことをしているのだから、多少は罪悪感や後ろめたさ、反抗心などを表明してもいいはずなのだが、「誰にも迷惑かけてないじゃん」とか、「何がいけないの?」などと、本心なのか開き直っているのか、とにかく少女たちの姿はとても明朗で快濶に映ってしまうのである。そして、そのような姿を見た私の心は、なぜか大きく動揺したのである。
彼女たちはどうしてそんなに明るいのか、そして、その明るさは一体何を意味しているのか、それを明らかにすることを本レポートの主要な課題とした。この課題に答えることにより、援助交際をより深くとらえることができるのではないかと思っている。
次に、ここで援助交際に対する私の立場をはっきりとさせておこう。私は援助交際には反対である。私のことは差し置いて、援助交際をする子を持つ親としても「好きにしなさい」などとは言っても、やめてほしいのが本音だろう。しかし、だからといって「もうやってはだめだ」などと説教をするだけでは、彼女達はやめたふりをして、親にばれないようにより巧妙にやるようになることは容易に想像がつく。捕まえても捕まえても、するすると逃げていく彼女たちに、親の苦労は並大抵ではないだろう。したがって、本レポートは親や教師などの、彼女たちの身近にいる大人たちに向けて書くことにした。親や教師などの身近な大人達はどう対応すればよいのかということについても考えてみることにする。
第1章 その明るさが意味するもの
ここで問題としているのは主に女子中高生の援助交際であるが、彼女たちは一見(読)すると、とにかく元気だし、自立しているように見える。
援助交際~その明るさが意味するもの
【本論の構成】
はじめに
第1章 その明るさが意味するもの
第1節 援助交際の実態
第2節 少女たちの普通さ
第3節 援助交際をする理由
第4節 ゲーム感覚‐援助交際の魅力
第5節 道徳からの逸脱
第2章 援助交際とどう向き合えばよいのか
第1節 道徳のもつ意味
第2節 温かい人間関係で道徳心を育む
第3節 具体的な対応
おわりに
はじめに
援助交際の実態を調べた本やテレビ番組を見て私が何よりも驚くのは、ごく普通の少女たちが、何のためらいもなく援助交際をして、それで得たお金で「今」を楽しんでいるという、彼女たちのその明るい姿である。「悪い」ことをしているのだから、多少は罪悪感や後ろめたさ、反抗心などを表明してもいいはずなのだが、「誰にも迷惑かけてないじゃん」とか、「何がいけないの?」などと、本心なのか開き直っているのか、とにかく少女たちの姿はとても明朗で快濶に映ってしまうのである。そして、そのような姿を見た私の心は、なぜか大きく動揺したのである。
彼女たちはどうしてそんなに明るいのか、そして、その明るさは一体何を意味しているのか、それを明らかにするこ...