社会保障制度は、日本国憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)」等を根拠にした制度である。内容は、国民全体が生活していく過程で出会うさまざまな生活上の問題、例えば疾病、障害、死亡、老齢等に対して、貧困の予防や生活の安定を目的とし、所得や医療の保障、社会福祉サービスの提供が行われる。
日本の社会保障制度は戦後から急速に発展してきているが、当時は戦争の影響である孤児、戦傷病者、戦死者の遺族への保障、対策が緊急課題であったこともあり、これらの生活に困窮する者への救済を目的として社会保障が位置づけられていた。やがて高度経済成長時代に入り、国民の生活水準は向上することになる。それに伴って社会保障に対するニーズもこれまでとは変化し、高度産業化によるリスク、問題点の保障が必要となってきた。今日では、1996年に出された「社会保障制度に関する勧告」にもあるように、生活の維持は基本的には国民の自助努力であり、老齢や疾病、失業など、生活の維持が困難な場合には国家責任によって国民の生活を保障するという性格のものになっている。
社会保障制度の体系では、大きく分類するとa社会保険、...