遺伝子治療、人工授精、臓器移植と、いまや医学はいのちの誕生にまで手を加えるようになってきている。それが特定の人々によって管理されるとしたら事態は重大である。クローニングにしても、人間に応用できる技術を開発しようと、国際的に活発な研究と開発が進められている。また。体外受精の際の余った胚からの「ES細胞(ヒトの胚性幹細胞)」と呼ばれる。別名「万能細胞」を利用することによって、白血病やパーキンソン病などの難病の治療や、人間の様々な組織や臓器がつくれる可能性があると言われている。科学技術庁はその研究を条件付で認め、そのための指針をまとめる作業を行った。しかし、本当に公開された討議がなされるかどうかを、私達は注意深く監視する必要があるのである。何よりも「人間の尊厳」および「人間の保障」を最優先し、社会・公共の責任を自覚し、専門家集団の新しい倫理基準をつくり、さらに専門家と非専門家との平等な協力作業による「公共政策づくり」や「バイオエシックス委員会」を設けての、情報公開を原則とする実験規則、指針、法律づくりを行うことが必要である。専門家以外には発言資格がないというのではなく、しろうとが専門性を尊重するとともに、人間としての対等の立場から専門家の責任と義務に基づくアドバイスを受けて、治療などについての選択肢を検討し、自分が納得できるやり方で慎重に決断するのが良いと思う。
こうした問題は、医療専門家だけで倫理基準を作るだけではなく、社会の開かれた状況の中で十分に検討することが大切である。専門家ではない人たちが、自分自身の問題としてどうするべきかを考えることが重要で、これがバイオエシックスの原点なのだ。ある意味で、当然のこととして受け入れてきた医療など専門中心の価値観をバイオエシックスの視点から問い直し、正しい人権感覚を持つようにと専門家を教育することが、私達しろうとの責任なのである。
遺伝子治療、人工授精、臓器移植と、いまや医学はいのちの誕生にまで手を加えるようになってきている。それが特定の人々によって管理されるとしたら事態は重大である。クローニングにしても、人間に応用できる技術を開発しようと、国際的に活発な研究と開発が進められている。また。体外受精の際の余った胚からの「ES細胞(ヒトの胚性幹細胞)」と呼ばれる。別名「万能細胞」を利用することによって、白血病やパーキンソン病などの難病の治療や、人間の様々な組織や臓器がつくれる可能性があると言われている。科学技術庁はその研究を条件付で認め、そのための指針をまとめる作業を行った。しかし、本当に公開された討議がなされるかどうかを、私達は注意深く監視する必要があるのである。何よりも「人間の尊厳」および「人間の保障」を最優先し、社会・公共の責任を自覚し、専門家集団の新しい倫理基準をつくり、さらに専門家と非専門家との平等な協力作業による「公共政策づくり」や「バイオエシックス委員会」を設けての、情報公開を原則とする実験規則、指針、法律づくりを行うことが必要である。専門家以外には発言資格がないというのではなく、しろうとが専門性を尊重...