1.障害者福祉の発達
障害者福祉問題は、その時代の社会の特質を背景として生起する。そして、社会の特質は国際的な障害者思潮の影響に強いインパクトを受けながら形成されている。以下、その時代背景と処遇の変遷をふまえ、障害者福祉の理念について述べるとする。
(1)戦前における障害者対策
(2)戦後の障害者対策(1945〜1960年代まで)
(3)収容保護から自立生活支援へ(1970年以降)
「障害者福祉の理念について述べよ。」
1.障害者福祉の発達
障害者福祉問題は、その時代の社会の特質を背景として生起する。そして、社会の特質は国際的な障害者思潮の影響に強いインパクトを受けながら形成されている。以下、その時代背景と処遇の変遷をふまえ、障害者福祉の理念について述べるとする。
(1)戦前における障害者対策
戦前における障害者の処遇は、近代化を急ぐ富国強兵、殖産興業政策における価値は、障害者を排除した社会の形成に進んだ。その最も典型的なのは、「精神病者取扱心得(1894年)」などによる取り締まりと、「精神病者監護法(1990年)」に定められた私宅監置や、らい予防法などによる隔離収容政策である。
(2)戦後の障害者対策(1945~1960年代まで)
1946年、連合司令部は、国家の責任に基づいて無差別平等に行うこと、責任を国家以外の者に転嫁しないこと、困窮防止のための救護予算は必要かつ十分なもので何ら制限を加えないことなど、わが国における公的扶助の原則を提示した。国民である障害者を生活主体者としてとらえる視点は、同年に発布された日本国憲法第25条「基本的生存権の保障」という基本...