1、講義における主張
今回の少年法改正の内容は、(1)少年審判への検察官の関与と検察官の「抗告受理申立権」、(2)裁定合議制の導入と審判方式の変容による裁判官の権限強化、(3)観護期間の延長、(4)刑事処分適用年齢の16歳から14歳への引き下げ、(5)16歳以上の少年による重大事件の原則的刑罰化、(6)保護者の責任の明確化などである。
しかし、改正は「改善」に必ずしもつながっているわけではなく、むしろ改悪への一途をたどっているように思える。原則刑罰化を法定することで検察官先議と同様の効果を与え、家裁への全権送致主義を実質的に変容してしまった。16歳以上の重大犯罪を犯した少年を原則として刑務所に送るばかりか、義務教育途上の中学生をも刑務所に送る道を開くことによって、子供に犯罪者の烙印をおすことを可能にしてしまった。
そればかりかその親の教育方法を責めることで真の非行原因を隠蔽し、子供の立ち直りに不可欠な親子関係の回復にくさびを打ち込んでしまった。また、検察官に実質的な抗告権を復活し、検察官関与と裁定合議制を導入することによって必罰主義を厳格化するとともに、裁判官に子供への道徳的説教者としての地位をも賦与した。
今回の改正への動きが具体化したきっかけは、事実認定の困難な少年事件の発生によって、改正に消極的であった裁判所が、改正を求めるようになった上に、神戸での少年による連続殺傷事件やバスジャック事件などの犯罪が続いたことで、マスコミ等世論が厳罰化を必要とする論調に変化したことである。
このような改悪とも言うべき改正が行われた原因として大きなものは、立法者側の少年犯罪に対する独りよがりな思い込みと、少年犯罪の背景への無知であろう。少年法改正によって処罰を厳しくして、抑止効果をもたせるのが主旨という。
1、講義における主張
今回の少年法改正の内容は、(1)少年審判への検察官の関与と検察官の「抗告受理申立権」、(2)裁定合議制の導入と審判方式の変容による裁判官の権限強化、(3)観護期間の延長、(4)刑事処分適用年齢の16歳から14歳への引き下げ、(5)16歳以上の少年による重大事件の原則的刑罰化、(6)保護者の責任の明確化などである。
しかし、改正は「改善」に必ずしもつながっているわけではなく、むしろ改悪への一途をたどっているように思える。原則刑罰化を法定することで検察官先議と同様の効果を与え、家裁への全権送致主義を実質的に変容してしまった。16歳以上の重大犯罪を犯した少年を原則として刑務所に送るばかりか、義務教育途上の中学生をも刑務所に送る道を開くことによって、子供に犯罪者の烙印をおすことを可能にしてしまった。
そればかりかその親の教育方法を責めることで真の非行原因を隠蔽し、子供の立ち直りに不可欠な親子関係の回復にくさびを打ち込んでしまった。また、検察官に実質的な抗告権を復活し、検察官関与と裁定合議制を導入することによって必罰主義を厳格化するとともに、裁判官に子供への道徳的説教者と...