「自由」とは何か、「平等」とは何か、「人間らしく生きる」とはどんなことだろうか。階級制度と権力の誇示に嫌気をさしていた彼にとって、それは人生のテーマであり、また追い続けたものでもあった。
オーウェルはスペイン内戦に何を見出したのだろうか。そこで彼は何を見たのだろうか。“Homage to Catalonia”(『カタロニア賛歌』)に語られる内戦の真実は何だろうか。理想と現実・希望と絶望の狭間で彼が見た世界はどんなものだったのだろうか。オーウェルの世界観を通して、スペイン内戦の意味とそこから見えてくる現代の世界情勢について考える。
ス ぺ イ ン 内 戦 「 白 と 黒 」
作家 ジョージ・オーウェルが見たもの
金
きん
明 実
みょんしる
01141054 言語文化学科 金
きん
明 実
みょんしる
卒業論文
『スペイン内戦「白と黒」
-作家 ジョージ・オーウェルが見たものー』
2
梗概
18 世紀の産業革命に始まり、19 世紀はまさに、人々が自由な権利を求めて戦った時代だ
った。国王が絶対の地位を持ち、貴族が主権を握った時代から、資本家が主権を握る資本
主義へと時代は移っていった。ところが、20 世紀に入ると徐々に、今度はその資本主義で
さえも揺るがされることになる。ロシアで社会主義革命が起こり、資本主義が揺らいだの
を機に、第一次世界大戦後の経済不況を経て、社会不安や貧富格差の増大に伴う階級闘争
が激化した。このような世界情勢を背景に、ヨーロッパでファシズムが台頭した。これに
より、ファシズムの独裁的支配を打破すべく、1936年7月、ついにスペインで内戦が
勃発した。
当時、このスペイン内戦は、反ファシズムを掲げる者たちにとって正義の戦いであった
ことは言うまでもない。そして、そこにはスペイン...