テーマ
東アジアの安全保障を考える上での、予防外交と内政不干渉原則について
考察
経済などさまざまな分野において近年グローバル化が進んでいることは疑う余地はないが、その流れと反発・並行するかたちで勢いを増しているのは地域統合の波である。
2004年5月に25ヶ国へと拡大したEUがその典型的な例といえ、共通通貨ユーロの導入やEU憲法の作成、共通外交政策など「国家間の敷居を低くしていこう」という姿勢がそこには見られる。国家主権の一部をも放棄するようなこのヨーロッパにおける地域統合、そしていまだに軍事・経済面で圧倒的プレゼンスをほこるアメリカという二つの極に挟まれるかたちになっているのがアジアである。日本と中国という大国を含み、ASEANという地域共同体が存在するこの地域でも地域統合への動きは見られ、最近では「東アジア共同体」ということばが紙面や論文の中でも多く見られるようになってきている。
しかし、EUとの大きな違いはこのアジアにおける地域主義があくまでも「自国の発展」を目指すことに主眼を置くものだということである。国家という枠組みを現在のところ越えないこの東アジアにおける地域統合の動きは(安全保障面において)どれほどの効果をもつのであろうか。
国家の枠を越えないということで問題となるのが内政不干渉原則というものの存在である。
ASEANはこの原則を存立の基礎においており、『(*1)アセアン独自の行動規範(対話、コンセンサスと内政不干渉、・・・)に基づくアジア的な国際関係の発展』とも述べられるが、最近のミャンマー軍事政権との関係などをみるとやはりこの原則が大きな足かせとなっていることがうかがえる。
東アジアの安全保障 -予防外交と内政不干渉原則-
テーマ
東アジアの安全保障を考える上での、予防外交と内政不干渉原則について
考察
経済などさまざまな分野において近年グローバル化が進んでいることは疑う余地はないが、
その流れと反発・並行するかたちで勢いを増しているのは地域統合の波である。
2004年5月に25ヶ国へと拡大したEUがその典型的な例といえ、共通通貨ユーロの導入や
EU憲法の作成、共通外交政策など「国家間の敷居を低くしていこう」という姿勢がそこには
見られる。国家主権の一部をも放棄するようなこのヨーロッパにおける地域統合、そしていまだに軍事・経済面で圧倒的プレゼンスをほこるアメ...