はじめに
環境報告書とは、環境省(2004)の定義によると「その名称並びに公表媒体に関わらず、事業者が環境コミュニケーションを促進し、事業活動における環境配慮の取組状況に関する説明責任を果たすとともに、利害関係者の意思決定に有用な情報を提供するためのもの」である。
また、上記の定義に先立って、経営環境の問題について、「経営の視点では経営体そのものの自主的環境マネジメントのなかで説明される。経営体はこの経営環境を経営意思決定のなかに組み込むことである」と考えていた。
今回対象として取り上げる石油元売会社1)の環境報告書において、上記の点を考慮し、入手することのできた環境報告書2)について各種比較を行った。
1.環境報告書の名称比較
現在発行されている「環境報告書」の名称は、社会・経済分野まで記載した「サスティナビリティ(持続可能性)報告書」、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)に基づく取組の成果を公表する「社会・環境(CSR)報告書」等、その内容や作成趣旨により様々である。
新日本石油(2002) 「環境報告書2002」.
新日本石油(2003) 「社会環境報告書2003」.
出光興産(2002) 「環境報告書2002」.
出光興産(2003) 「環境・社会報告書2003」.
コスモ石油(2002) 「環境報告書2002」.
コスモ石油(2003a) 「環境報告書2003」.
コスモ石油(2003b) 「green report 2003(環境報告書2003 簡易版)」.
昭和シェル石油(2003) 「環境報告書Moderate 2003」.
ジャパンエナジー(2003)「環境報告書2003(ダイジェスト版)」.
新日本石油の環境に対する取り組みについては、従来2002 年度までは「環境報告書」だったが、2003 年度からそのタイトルを「社会環境報告書」に改め、社会的責任についても詳しく報告している。
石油元売会社における環境報告書について
◆キーワード(Keywords )
環境コミュニケーション、環境マネジメント、サスティナビリティ
(sustainability )、社会的責任(CSR :Corporate Social Responsibility )
◆目次(Contents )
はじめに p.2
1.環境報告書の名称比較 p.2
2.環境報告書の公表媒体 p.3
3.環境報告書に対する第三者意見の掲載 p.4
おわりに p.5
注記 p.5
はじめに
環境報告書とは、環境省(2004 )の定義によると「その名称並びに公表媒体に
関わらず、事業者が環境コミュニケーションを促進し、事業活動における環境
配慮の取組状況に関する説明責任を果たすとともに、利害関係者の意思決定に
有用な情報を提供するためのもの」である。
また、上記の定義に先立って、経営環境の問題について、「経営の視点では経営
体そのものの自主的環境マネジメントのなかで説明される。経営体はこの経営
環境を経営意思決定のなかに組み込むことである」と考えていた。
今回対象として取り上げる石油元売...