オルタナティブ投資とは、株式や債券といった伝統的資産に投資して、その値上がり益や配当収入を期待するといった運用手法と異なる、‘代替的な’投資手法のことである。こうしたオルタナティブ投資の代表例としてはプライベート・エクイティとヘッジファンドが挙げられるが、以下ではプライベート・エクイティに限定し、その活性化の条件を述べることにする。その際、私はプライベート・エクイティがバイアウトであろうと、ベンチャー投資であろうと、リスクマネーの供給が鍵となることから、資金循環メカニズムの変革がプライベート・エクイティ市場の活性化の条件であるということを示そうと思う。
プライベート・エクイティとは、ベンチャー企業や破綻企業再建、企業再編におけるMBOなど、公開証券市場や銀行が対応できないリスクの高い企業に資金供与を行い(リスクマネー)、その後の株式公開や企業売却で目標利回りを達成するオルタナティブ投資の一形態である。最近の事例としては、リップルウッドによる長銀の買収が有名である。
このことからも分かるとおり、プライベート・エクイティの経済的役割は従来の金融機関による資金供給が困難な投資先に資金を供給し、企業再建やベンチャー企業の創立を促す、ということになるだろう。同時に、相対的に過剰な資金を運用する対象を創造することによって、年金基金や富裕層の個人資産の有為な運用を可能にするのである。
レポート、経済学、資金循環構造、金融構造、直接金融、エクイティファイナンス、プライベートエクイティ
資金循環メカニズムの変革とプライベート・エクイティ市場の活性化
オルタナティブ投資とは、株式や債券といった伝統的資産に投資して、その値上がり益や配当収入を期待するといった運用手法と異なる、‘代替的な’投資手法のことである。こうしたオルタナティブ投資の代表例としてはプライベート・エクイティとヘッジファンドが挙げられるが、以下ではプライベート・エクイティに限定し、その活性化の条件を述べることにする。その際、私はプライベート・エクイティがバイアウトであろうと、ベンチャー投資であろうと、リスクマネーの供給が鍵となることから、資金循環メカニズムの変革がプライベート・エクイティ市場の活性化の条件であると...