【問題】
2 Aは,B所有の茶器を所持していたところ,Cから100万円を借り受けるに当たり,この茶器をCに質入れした。
一.この茶器は,AがBから預かっていたにすぎないのに,Bの承諾なしに,自己のものとしてCに質入れをしたものであった場合に,Cは,質権の実行により,100万円の貸金債権の弁済を受けることができるか。次の3つの場合のそれぞれについて検討せよ。
(一)現在,Cが茶器を所持している場合
(二)質権の設定後にAの懇願をうけてCがこの茶器をAに引き渡し,現在は、Aがこれを所持している場合
(三)Cから茶器の引渡しを受けたAがこれを更にBに返還し,現在は,Bがこれを所持している場合
二.この茶器は,AがBに貸し付けた50万円の貸金債権の担保のためにBからAに質入れされたもので,これを,AがBの承諾なしに更にCに質入れしたものであった場合に,Cは,自己の質権の実行により,100万円の貸金債権の弁済を受けることができるか。
【解答例】
一
小問(一)について
(1) AはB所有の茶器を、Bの承諾なしに質入れし、Cとの間で質権設定契約を結んでいる。かかる場合、Aは無権利者であるから...