1.主観的違法論と客観的違法論の対立について
(1)まず、主観的違法論とは、法規範は人の意思に対する命令・禁止であるとして、これに反することを違法とする考え方である。この考え方によれば、責任能力者、つまり事の善悪を判断できる者の行為でなければ、その行為を違法とすることはできない。
(2)これに対して、客観的違法論とは、法規範を評価規範と決定規範に区別し、評価規範違反を違法、決定規範違反を責任とする考え方である。この考え方によれば、行為者に事の善悪を判断する能力があるか否かを検討する必要はなく、行為者の行為が客観的に法に違反してさえいれば、違法と判断してよいということになる。
(3)この点、?我々は、何かを決定するのに先立って、何かを決定すべきかを評価する必要があるから、論理的に評価規範は決定規範に先行すること、?主観的違法論は違法と責任を混同するものであることから、客観的違法論が妥当とするのが通説である。
刑法課題レポート 3
1.問題
主観的違法論と客観的違法論の対立について述べた上、主観的違法要素の是非について論じなさい。
2.回答
1.主観的違法論と客観的違法論の対立について
(1)まず、主観的違法論とは、法規範は人の意思に対する命令・禁止であるとして、これに反する
ことを違法とする考え方である。この考え方によれば、責任能力者、つまり事の善悪を判断で
きる者の行為でなければ、その行為を違法とすることはできない。
(2)これに対して、客観的違法論とは、法規範を評価規範と決定規範に区別し、評価規範違反を
違法、決定規範違反を責任とする考え方である。この考え方によれば、行為者に事の善...