社会と法は密接な関係にある。社会とは人間の共同生活の総称であり、広く言えば人間の集団としての営みや組織的な営みである。「社会あるところ法あり」とも言われるように今日の日本も例外ではないだろう。逆に言えば法が存在するところには、大小異なるものの社会も存在するのである。社会生活と法の関係について考えてみると、なぜ社会生活には法が必要なのか、社会生活にとって法とはどんな存在なのかという疑問にぶつかるのである。この疑問を解決するには社会の変遷と法について考える必要がある。
今日の日本社会で生活していると、無意識に法に縛られて生活していることになる。その法の原点は原始時代にあると言われている。原始時代は過酷な自然環境にあり、人間は血縁関係を中心とした、比較的小規模な社会を築き生活していた。この原始時代は自然環境に左右された時代であり、現在と比べるとはるかに不安定な生活を強いられていた。人間は不安定な自然現象を霊によるもとの考え、霊を鎮めるために、司祭が生まれ様々な儀式を行うようになり、犯してはならない禁忌が生まれたのである。この儀式と禁忌が後の宗教の原点になり、法となったのである。やがて人間...