所得保障において、生活困窮者に最低限の文化的生活を保障するために、国が経済的援助を行う公的扶助は、生活扶助などの生活保護や、児童手当などの社会手当てがあげられる。社会保険としては公的年金、雇用保険、労災保険が適用されることとなる。被保険者が受けられる社会サービスとしては老人福祉と障害者福祉の2種類がある。老人福祉には例えば、七十歳以上の寝たきりの高齢者に毎月定額のお金を支給するなどの各種手当てや割引料金がある。障害者への各種手当は、国・都道府県・市町村のそれぞれの立場から支給されており、対象としては、在宅の重度の障害者で都道府県知事・市長及び福祉事務所を管理する町村長の認定を受けた者である。また、割引料金も適用されている。
医療保障において、公的扶助は、医療扶助などの生活保障や、公費負担医療があげられる。適用される社会保険は 健康保険、国民健康保険、各種共済労災保険である。受けられる社会サービスは療護施設の利用などで原則として金銭が支払われることはない。以上のことが所得保障、医療保障を体系的に見た際の原理的な違いである。
所得保障には、例えば年金保険や雇用保険のように、老齢や失業などを原因として所得喪失状況が発生した場合に、給付を行うことによって困窮に陥る前に生活安定を図ろうとする事前的な対策と、原因が何であれ、困窮に陥った者を対象に事後的に給付を行う最低生活保障制度とがある。所得保障の目的は、救貧、防貧を超えて、健やかで安心できる国民生活を形成するものへと変化してきた。
1)所得保障と医療保障の原理的な違いと制度的特質について
所得保障において、生活困窮者に最低限の文化的生活を保障するために、国が経済的援助を行う公的扶助は、生活扶助などの生活保護や、児童手当などの社会手当てがあげられる。社会保険としては公的年金、雇用保険、労災保険が適用されることとなる。被保険者が受けられる社会サービスとしては老人福祉と障害者福祉の2種類がある。老人福祉には例えば、七十歳以上の寝たきりの高齢者に毎月定額のお金を支給するなどの各種手当てや割引料金がある。障害者への各種手当は、国・都道府県・市町村のそれぞれの立場から支給されており、対象としては、在宅の重度の障害者で都道府県知事・市...