貨物自動車の大気汚染
1.はじめに
国土交通省発表の陸運統計要覧によると1955(昭和30)年には全国で70万台弱だった貨物自動車(トラック)の登録台数は高度経済成長と共に増加しつづけ、1992(平成3)年には8,920,738台に達しピークとなった。以降、トラックの台数は徐々に減少しつつあるものの、2005(平成17)年時点で未だ7,159,696台のトラックが登録されている(1)。これらのトラックのほとんどは軽油によって走るディーゼル車である。この50年の間、日本中を走行するディーゼル車がさまざまな環境汚染を引き起こしてきた。特に排気ガスによる大気汚染はぜんそくなどの疾患を蔓延させ、訴訟にまで発展するものもあった。これに対して、行政側もさまざまな大気汚染対策の対応を行ってきたがまだまだその取り組みは不十分である。このレポートでは、全国のディーゼル車による大気汚染に対し、これから私たちがどう向き合っていくべきかディーゼル車の中でも貨物自動車(トラック)に焦点をあてて検証していく。
貨物自動車の大気汚染
1.はじめに
国土交通省発表の陸運統計要覧によると1955(昭和30)年には全国で70万台弱だった貨物自動車(トラック)の登録台数は高度経済成長と共に増加しつづけ、1992(平成3)年には8,920,738台に達しピークとなった。以降、トラックの台数は徐々に減少しつつあるものの、2005(平成17)年時点で未だ7,159,696台のトラックが登録されている(1)。これらのトラックのほとんどは軽油によって走るディーゼル車である。この50年の間、日本中を走行するディーゼル車がさまざまな環境汚染を引き起こしてきた。特に排気ガスによる大気汚染はぜんそくなどの疾患を蔓延させ、訴訟にまで発展するものもあった。これに対して、行政側もさまざまな大気汚染対策の対応を行ってきたがまだまだその取り組みは不十分である。このレポートでは、全国のディーゼル車による大気汚染に対し、これから私たちがどう向き合っていくべきかディーゼル車の中でも貨物自動車(トラック)に焦点をあてて検証していく。
2.ディーゼル車による大気汚染とその原因
東京経済大学名誉教授の柴田徳衛によれば、ディーゼル車...