エンパワメントとは、近年注目されている利用者に対する援助技術の考え方の1つである。もともとエンパワメントは、1970年代のアメリカの黒人解放運動、女性解放運動等の公民運動やフェミニズム運動から発展してきた用語及び考え方であり、1980年代以降、盛んに議論され、日本においては、1990年代に入ってから使われるようになった。一般的には、個人や集団が自ら生活の統御感を獲得し、組織的、社会的、構造に外郭的な影響を与えるようになることであると定義され、人が自分のおかれている状況を改善していくパワー、すなわち権限、発言力、自信などといった力を回復させ、強化していくことを言う。
例えば、戦後50年間障害者福祉分野において、障害者は社会的弱者として保護され、出来ない行為や技術を指導、訓練することで能力や権限が付加されるものとみなしてきた。これに対してエンパワメントのもとでは、障害者には本来ひとりの人間としてすばらしい能力が備わっているのであり、問題は社会的抑圧のもとで、どれだけそれを引き出し発揮させることができるのかというものである。
社会的抑圧の中で、生き方が保護されてこなかった障害者自身に、力を...