ソーシャル・ケースワークは、援助活動を具体化していく過程で用いられる最も基本的で、かつ重要なものである。利用者が抱えている生活上のニーズに対して、援助者との人間関係を中心にして、個別的に展開される援助である。
ケースワークの歴史の始まりは,1870年代、イギリスのCOS(慈善組織協会)に所属する友愛訪問員が、要救護者を訪問し、生活相談と共に救済活動を行ったことにある。この先駆的な活動が、アメリカで導入されるようになり、多くの実践活動が展開された。1889年より、このCOS運動に従事していたM.リッチモンドは、1917年に、クライエントの持つ問題を収集した基礎資料を科学的に分析し、これに客観的な解釈を加えて人格をできるだけ正確に捉える方法を指した「社会診断」を、更に1922年には、ソーシャル・ケースワークは人間とその社会的環境との間を個別に、意識的に調整することを通して、人格を発展させる諸過程からなっていると定義した「ソーシャル・ケースワークとは何か」を著し、ケースワークを体系化した。このリッチモンドによるクライエントの人格は、狭く限定された人格を意味するものではなく、クライエントをめ...