現代資本主義における新たな精神的文化価値確立への見解
現代の金融市場は、労せずして大金をつかみたいという人間の欲望が渦巻く、ギャンブル場である。金持ちはさらに資金を増大させる一方、圧倒的多数の労働者は、チャンスも与えられないどころか、そのツケを負わされてしまう。こんな現代資本主義の中で、ローカルな文化や雇用を守るためには、どうすればよいのか。
そもそも資本主義とは、どのような精神的系譜を辿ってきたのか。まず述べたいのが、禁欲的プロテスタンティズムにおける世俗内的禁欲のエートス(本質的な特性、思想)の誕生である。彼らは、宗教上の恩恵の地位の保持は、自然のままの生活様式とは明確に相違した独自な行状による確証によってのみ保証されうるとした。その行状とは、ルッターにより生まれた天職観念である。すなわち彼らは、各人の生活上の地位から生じる世俗内的義務=職業に専心することのみが、神に喜ばれる手段だと考えた。彼らにとって、富とは隣人愛を実践する標識であり、消費的な使用など邪悪の極致であった。だから彼らは、生産的な利用、すなわち投下資本としての利用を実践した。その結果、合理的産業経営を土台とする、資本...