ゆとりのない社会――日本の教育の課題

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    1.はじめに
     近年、「学力低下」が問題視されるようになってきた。2000年以降3年ごとに行われているPISA(国際学習到達度調査)において、日本の国際順位が2003年・2006年と二回連続で下がった。これが、日本の児童の学力低下を証明しているとしたことが原因である。
    PISAの調査結果を受けて、日本の生徒の順位下落の要因に2002年から施行された「ゆとり教育」の失敗をあげる論調が強まり、その見直しが求められている。私がこのテーマを選んだのは、メディアから得られるこういった情報に関心があったからだ。しかし、本当にゆとり教育が学力低下の直接の原因なのだろうか、そうだとするなら、ゆとり教育の問題点とは何なのだろうか。以下でそうした疑問に対する考察を行い日本の教育課題を探り、さらにそこから日本社会全体の課題を考察したい。
    2.ゆとり教育の背景
    近年は、「学力低下」の原因が「ゆとり教育」にあるとする論調が増えている。しかし、どうして「ゆとり教育」が施行されたのかを知らずに批判するべきではない。まず、ゆとり教育が施行された背景を考えたい。
     高度経済成長後、日本はアメリカやイギリスに比べて保護者...

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