1994年、ルワンダで大虐殺が起こった。ツチ族に対するフツ族のジェノサイドだった。フツ族はルワンダの人口の約8から9割を占め、ツチ族は約1から2割、他にはトゥワ族が1%ほどと少数だ。この大量虐殺が起こるには主にツチ族とフツ族の対立が根底にある。ツチ族とフツ族はもともと同じ種族であり、同じルワンダ語を話し、同じ領域に住み着いていたが、遊牧民族であるツチ族と農耕民族であるフツ族の違いが貧富の差を生み、階層を作っていった。国土のほとんどが農作業にはあまり向かない痩せた土地であったので、農耕業が主だったフツ族は貧しく、逆に遊牧業が主だったツチ族は、牛を多数所有するなど比較的豊かであっただけなのだ。
ルワンダは1899年から1919年まではドイツ、1919年から1962年の独立まではベルギーの植民地だった。宗主国はツチ族にだけフランス語教育をしたり、高い役職を与えたり、フツ族を組織的に権力構造や教育組織から排除したのだが、それには理由があった。ヨーロッパの宗主国がツチによる支配構造を作った根底には,当時のヨーロッパにおける人種観があった。というのは、ツチ族とフツ族を比べたとき、ツチ族の方が肌色が...