国や地方公共団体は、公共サービスを提供するために必要な財源を主に租税によってまかなっている。日本国憲法第30条では、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。」と納税の義務について規定しており、同条は国民に納税の義務を課したものとして国家による徴税の根拠となっている。よって租税とは、国や地方公共団体のわれわれ納税者に対する強制的な徴収である。そのため、国民が納得できるような税徴収を行う必要がある。適切な税徴収を行うためにはどのような税制が望ましいのであろうか。
我々が身近に想起する税としては所得税と消費税がある。どちらも国税であり、各種税目の中でも主要な税である。今回、特に所得税と消費税を中心に税の中立性、税の公平性、徴税費用という観点から税の仕組みを比較しながら見ていくことにする。
まず、税の中立性、公平性、徴税費用とはどのような概念であるのか。一般に課税において満たすべき基本原則として捉えられている。
(1)中立性原則
中立性原則とは、課税が市場における資源の効率的配分の達成をできるだけ害さないように行われるべきであるというものである。
(2)公平性原則
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