【非嫡出子相続分差別事件決定について】
1.事実の概要及び第一審、原審の判示概要
被相続人の女性は、兄弟である長男早逝により一人娘となり、後継者としての婿養子選びのため試婚を繰り返させられ、二人目の試婚相手とは婚姻に至らず非嫡出子をもうけた。
当該非嫡出子を代襲相続した本件特別抗告人(申立人・抗告人)は、他の嫡出子側の相続人を相手どり、非嫡出子の相続分を嫡出子の二分の一と定める民法900条4号但書前段の規定は、憲法14条1項所定の法の下の平等に反すると主張し、平等な割合による分割を求めて遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てた。
(一) 第一審(静岡家裁熱海出張所平成2年12月12日審判)は、法定相続分をどのように定めるかは、その国の立法政策の問題であり、また昭和54年7月、「相続に関する民法改正要綱試案」において法定相続分の平等化が提案されたものの、改正が見送りとなった経緯に照らしてみても、現行法の許で申立人の主張を認めることはできない、と判示した。
(二) 第二審(東京高裁平成3年3月29日決定)も、憲法14条、13条違反他多くの抗告理由を退け、第一審を引用の上、多少の修正をしただけでこれを棄却した。抗告人はこれを不服として特別抗告した。
本件は、同じく民法900条4号但書前段の規定が憲法14条1項の法の下の平等に違反する旨の憲法違反の主張がなされた、他の遺産分割審判の特別抗告事件(平成5年(ク)第302号事件)とともに最高裁第二小法廷での審議を経て、平成6年12月に大法廷に回付され、二件とも実質的に同じ内容の決定がなされた。
憲法Ⅰ
【非嫡出子相続分差別事件決定について】
事実の概要及び第一審、原審の判示概要
被相続人の女性は、兄弟である長男早逝により一人娘となり、後継者としての婿養子選びのため試婚を繰り返させられ、二人目の試婚相手とは婚姻に至らず非嫡出子をもうけた。
当該非嫡出子を代襲相続した本件特別抗告人(申立人・抗告人)は、他の嫡出子側の相続人を相手どり、非嫡出子の相続分を嫡出子の二分の一と定める民法900条4号但書前段の規定は、憲法14条1項所定の法の下の平等に反すると主張し、平等な割合による分割を求めて遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てた。
(一) 第一審(静岡家裁熱海出張所平成2年12月12日審判)は、法定相続分をどのように定めるかは、その国の立法政策の問題であり、また昭和54年7月、「相続に関する民法改正要綱試案」において法定相続分の平等化が提案されたものの、改正が見送りとなった経緯に照らしてみても、現行法の許で申立人の主張を認めることはできない、と判示した。
(二) 第二審(東京高裁平成3年3月29日決定)も、憲法14条、13条違反他多くの抗告理由を退け、第一審を引用の上、多少の修正をしただ...