『アメリカにおける医療制度の現状を説明するとともに、わが国の医療改革について述べよ。』
1 アメリカにおける医療制度の現状
アメリカでは、日本のような全国民を対象とした公的医療保障制度はなく、現役世代の医療保障は民間医療保険を中心に行われており、企業の福利厚生の一環として事業主の負担を得て団体加入する場合が多い。
アメリカの公的医療保険制度としては、高齢者及び障害者等に対するメディケア(公的高齢者医療保険)と、低所得者に対する公的扶助であるメディケイド(低所得者医療扶助制度)がある。
(1)メディケア(Medicare)
メディケアは、1965年に創設された連邦政府が運営する公的医療保険制度である。65歳以上の者、障害年金受給者、慢性腎臓病患者等を対象とし、パートAとパートBに分かれている。約4050万人(2002年)が加入している。
パートAは、入院とホームヘルスケア、ホスピスケア等を保障する強制加入の病院保険である。社会保障税により賄われ、税率は現在2.9%で、被用者は事業主と折半して負担、自営業者は全額負担となっている。
パートBは、パートAでカバーできない外来等における医師の診...