昭和期前半の従軍慰安婦、RAAで働かされた女性達を調べて、女性の人権など全く考えられていないと思った。現在の日本ではあり得ないことだけにショックであった。長い間、教育においても男尊女卑の風潮により、当時の女性の多くには学がなかった。戦時中、「お国のために働くことはよいことだ」とすり込まれ、それしか知らなかった者も多いのではないかと思われる。まるで今の北朝鮮社会のようだ。何も知らない彼女らは騙され、売り飛ばされ、地獄のような生活を送ってきた。従軍慰安婦の戦後補償において、はっきりしたことは調べていないが、まだ問題は解決されていない。未だにトラウマの残っている人、その他の後遺症を抱えている人はたくさんいる。
敗戦直後の混乱状態においても、家を焼かれ、身寄りも職もなく、生活手段を失った彼女たちを政府は救うどころか奈落のそこに突き落としたのだ。そんな中でも自分が利用されているとは知らずに、純粋にお国のために奉仕してきたと思っている女性がいたことを考えると、彼女達は幸せでなくとも充実していたのかとも考えてしまう。
しかし、これら過去にあった事実を知って残念に思うことは確かだ。戦争が終わり、片や「洋裁の時代だ」とドレスメーカー女学院通う者もいるというのに。慰安婦とされた女性達は何のために「性の防波堤」となったのだろうか。戦争以前からの思想では仕方なく、過ぎてしまったことと言われればそれまでだが、真の「防波堤」を築くならば、連合軍に対して、初めから売春を許さないという強い態度を取るべきだったのではないだろうか。
以上のことをふまえて現代のことを考えてみた。援助交際など、多少かたちはかわりつつあるものの売春問題は後を絶たない。もし、現在売春を行っている者達が戦時中、戦後の日本にいったらどうするのだろう。やはり進んで売春をするのであろうか。また、そうでない者がいった場合、周りに流され、せざるを得なくなってしまうのだろうか。今の社会、男女平等といわれ、女性もきちんとした教育が受けられるようになり、社会でも立場が認められてきた。このことを考えると、自らを商品化している女性達に、もっと自分のことを、そして自らの価値を下げるような行為に対してよく考えてほしいとも思った。
今回調べたことほんの一部にすぎず、実態を知るには売娼・公娼の歴史から調べていかなければならないと感じた。今回はそこまで至らなかったが、日本人の戦後問題として「知らなかった」で済ませてはいけないことについて知ることができたこと。また、女性の人権問題についても考える機会になってよかったと思っている。
<関心>
今回の課題で取り上げるのは戦後の公娼制で、特に関心を持ったRAA(特殊慰安施設協会)のことだ。一言で言うと、政府が「日本の一般女子の純潔を守るため」に斡旋していた売春施設のことだ。何から守るかというと、敗北した日本を占領しにくる連合軍からだ。詳しいことには後ほど触れるとする。
このテーマを選んだ動機のとして、基礎ゼミで戦後の若者について調べることになり、戦時中から敗戦直後あったて慰安婦や売春婦として利用されていた女性の存在を知ったところにある。「従軍慰安婦」と聞けば、だいたいの人がどのようなことかは説明できるだろう。私が目をつけたのは、戦後まもなくして始まった「お国のための売春」だ。本当のところ、テーマとして取り上げるなんてまっぴらだと思っていた。慰安婦の存在自体は知っていたし、あまりにも生々しそうでふれたくなかったのだ。しかし、興味本意から本を手にとって見た時、何故か「この問題についてちゃんと知る必要がある」と思ったのだ。歴史の授業では「日本軍は女性にひどいことをした」としか教えてくれなかったことを、自分で調べてみたいと思った。
<本論>
Ⅰ.戦時中の慰安制について
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