「養護学校では,複数担任・集団指導体制(チームティーチング)で学級経営・学習指導を実施しているが,特に指導者集団として留意しなければならない事柄について述べよ。」
養護学校では、40人程の児童・生徒を一人の指導者で指導することの多い一般校(小・中学校)とは異なり、ほとんどの学校で3~4人から7~8人の児童・生徒を複数(2~4人)の指導者で指導している。
これらの指導体制は、「複数担任制」「集団指導体制」などと呼ばれている。
これらの指導体制や指導形態の組み方が、授業の成否を決定するとまでいわれている。
養護学校においては、児童及び生徒の集団編制と同時に、指導体制をどうするかを考えなければならない。
学校のもつ条件によって違いはあるが、基礎的な学級の指導体制(担任)として、複数指導がとられている学校と、主として単数指導で、必要に応じて複数指導をとっている学校とがある。
指導体制は、集団の質や量(障害の種別・程度、発達の状況、取り組む内容や場所)をはじめ、集団編制に対する基本的な考え方等によって異なるが、各学校で適切に工夫されている。
ごく一般的に考えられる複数指導形態を、パターンに分けると次の六つのようになる。
作業学習中・ドリル学習中の形態で、児童を均等に指導者に割り当てている。
主担当者も副担当者と同数の児童・生徒を受け持ちながら学習を展開する。
児童・生徒は副担当者が半分ずつ受け持ち、主担当者の指示によって学習を展開する。
指導者が、受け持ち児童・生徒を特定せずに学習を展開する。
②と③のパターンの混合型(副担当者が児童・生徒を半分ずつ受け持ち、主担当者もその一部を受け持つ)により学習を展開する。
③のパターンが発展し、副担当者が児童・生徒を半分ずつ受け持ちながら、主担当者が全体を指導する。
複数指導体制の難しさとしては、次のようなことが考えられる。個々の指導者により、世代の違い、教育観の違い、個性の違いがあり、チームワークを円滑にとることが難しい場合がある。
また、指導のねらいの共通理解や目標の達成のために、日々の授業実践の中で指導者間の綿密な打ち合わせが重要とされるが、それには多大な時間と労力が必要であることである。
実際の授業の展開においては、一人ひとりの指導者の役割を明確にし、児童・生徒が複数の指導者の中で混乱することが絶対にないように注意しなければならない。
一方、複数指導体制の利点としては、次のようなことが考えられる。指導者それぞれの不得意な部分を補い、得意な部分(特技・個性)をいかすことができる。
また、複数の指導者で指導することで、マンネリになることが少ないほか、
いわゆる学級王国になる危険性も予防できるであろう。複数の指導者で、子どもの実態、教育目標や教育計画を検討することができるため、より的確な指導も期待される。
要は、児童及び生徒の実態をベースにそれぞれの児童及び生徒にとって「今、何が必要なのか」「その具体的な内容は何か」ということを基本に、学習課題を設定し、学習を展開する上での指導者の役割分担やその手立てを確認する等、事前に十分協議されることが複数指導体制の基礎だといえる。
特に、指導者が複数であるだけに、事前に種々の取り組みが必要とされる。
担当する児童・生徒の「障害程度と特性」、「成育歴」、「当面の指導課題」、「保護者の教育要求」などの共通理解を深めた上で、学校の教育目標・具体的課題を確認して年間計画を作成し、学級経営を進めることになる。
授業を展開するにあたっても、事前に授業の中心指導者の決定と、授業展開に伴う役
「養護学校では,複数担任・集団指導体制(チームティーチング)で学級経営・学習指導を実施しているが,特に指導者集団として留意しなければならない事柄について述べよ。」
養護学校では、40人程の児童・生徒を一人の指導者で指導することの多い一般校(小・中学校)とは異なり、ほとんどの学校で3~4人から7~8人の児童・生徒を複数(2~4人)の指導者で指導している。
これらの指導体制は、「複数担任制」「集団指導体制」などと呼ばれている。
これらの指導体制や指導形態の組み方が、授業の成否を決定するとまでいわれている。
養護学校においては、児童及び生徒の集団編制と同時に、指導体制をどうするかを考えなければならない。
学校のもつ条件によって違いはあるが、基礎的な学級の指導体制(担任)として、複数指導がとられている学校と、主として単数指導で、必要に応じて複数指導をとっている学校とがある。
指導体制は、集団の質や量(障害の種別・程度、発達の状況、取り組む内容や場所)をはじめ、集団編制に対する基本的な考え方等によって異なるが、各学校で適切に工夫されている。
ごく一般的に考えられる複数指導形態を、パターンに分ける...