①ヴィクトリア時代の詩について
②シェイクスピアの第3期~第4期の作品について
③エドマンド・スペンサーについて
④18世紀の小説の勃興及びその担い手について
⑤ジョン・ドライデンについて
1ヴィクトリア時代の詩について
ヴィクトリア時代は、代表的な詩人のテニスンやブラウニングは別にするとして、詩的創造に関しては全体に不毛の時代であったといえる。よって、この2人について時代とともに述べたい。
テニスンの出世作『詩集』では、「イーノウニー」、「芸術の宮殿」、「蓮を食う人々」、「シャロット姫」、「美女の夢」などよく知られたヴィクトリア朝的詩編を含んでいる。テニスンの親友の夭折を悼んだ短詩から成る『イン・メモリアル』は死と生に関する魂の旅路の記録である。絶望から始まり懐疑を経て信仰の回復に至る経過が描かれ、そこにはヴィクトリア朝の人々を悩ませた問題が繁栄されている。深い思索は見出せないけれども科学と信仰の調和の試みがなされ、彫琢に彫琢を加えた言葉で書きつらねてあり、ヴィクトリア朝詩の最大のものといわれている。この他には、ヴィクトリア朝の倫理観によって描かれている『アーサー王の死』などがある。
ブラウニングはテニスンと並び称されるヴィクトリア朝の代表的詩人である。ブラウニングは好んで人間の心理を洞察し、「劇的独白」という形式を確立した。「劇的独白...