1.目的
屈折率の測定をする主な方法には
(1)プリズム状に成型して、分光計により測定する
(2)全反射計を用いる
(3)光の干渉を利用する
などである。今回の実験では(1)の方法を用いて測定する。この方法はガラスのような透明体の屈折率を極めて高精度に測ることができる。分光計の実験は正しい結果を得るためには、機器の調整がいかに重要であるかよく自覚できる実験である。各種光学機器を用いる場合に応用できるものであり、角度の精密測定の練習というような意味もあり、原則的にも実技的にも重要な実験である。
2.理論
頂角がαのプリズムABCを単色光が通過するとき、AB面、AC面での入射角、屈折角を図のようにそれぞれ とする。入射方向と射出方向へのふれの角を とする。屈折の法則により屈折率 と などとの間には
(1)
の関係がある。また
(2)
(3)
の関係があるので、 は の関係となる。特にプリズムが与えられたときには は のみの関数である。しかるに(1)、(2)、(3)式によりそれぞれ
(4)
(5)
(6)
が得られる、これらを用いて
(7)
が得られる で、 が極値となるのは 、したがって のときで、光がプリズムを対象に通過するときに対応する。
このとき は最小となるので、これを最小のふれの角といい、 で表すと、屈折率 との間に、
(8)
の関係がある。したがってプリズムの頂角αと、最小のふれの角 を測定すれば、その波長に対する屈折率が求められる。
3.装置
・使用器具
分光計、スペクトル用水銀ランプとその起動装置、プリズム、豆ランプ、平行平面板、電気スタンド
・分光計
分光計は9-2図、9-3図のように、度盛円盤D、コリメーターC、測定用望遠鏡Tの3主要部がある。
度盛円板とは、分光計で最も重要な部分で、最小目盛り1/2°で角度目盛りされている。
V 、V により、望遠鏡の位置を1’まで読むことができる。副尺は最小目盛りの29目盛りを30等分したものである。
分光計を水平に設置するために、調整用のねじK 、K 、K がある(9-3図)。また中央には、鉛直中心軸の周りに自由に回転できるプリズム台Pがある。
コリメーターはSから入った光をL により平行光線として取り出す装置で、スリットがレンズの焦点に正しくなるように調整可能である。スリットは調整ねじQ、高さはV字のくさびでちょうせいできる。
軸に垂直に調整するためにG 、G 、A 、A 、がある。
光源
光源には小型のスペクトルランプを用いる。この実験ではHgのスペクトルランプを用いる。ランプの構造は二重ガラス管になっており、内部のガラス管内には各元素以外にアルゴンが数mmHg入っている。
スペクトル
黄(5791、5770)緑(5461)緑青(4916)青(4358、4347、4339)青紫(4078、4047)
4.オート・コリメーション
この実験では9-6図のAbbe型を使う。これは小型の全反射プリズムを挿入したものである。豆電球を接眼鏡の側穴または全反射プリズムに向け適当に照射すると、光は望遠鏡内の十字の線を照らす。
もし望遠鏡が無限遠に調整されていれば、平行光束として射出する。光軸に垂直な反射面があれば、光は再び同じ光路を逆にたどり望遠鏡に入り、十字線の面上に、上下、左右逆の実像ができる。その像と十字線が一致すれば、望遠鏡は無限遠に調整され、光軸と反射面が垂直に調整されたことになる。このような操作のことをオート・コリメーションと言う。
オート・コリメーションの方法は9-6図の右図のように反射
1.目的
屈折率の測定をする主な方法には
(1)プリズム状に成型して、分光計により測定する
(2)全反射計を用いる
(3)光の干渉を利用する
などである。今回の実験では(1)の方法を用いて測定する。この方法はガラスのような透明体の屈折率を極めて高精度に測ることができる。分光計の実験は正しい結果を得るためには、機器の調整がいかに重要であるかよく自覚できる実験である。各種光学機器を用いる場合に応用できるものであり、角度の精密測定の練習というような意味もあり、原則的にも実技的にも重要な実験である。
2.理論
頂角がαのプリズムABCを単色光が通過するとき、AB面、AC面での入射角、屈折角を図のようにそれぞれ とする。入射方向と射出方向へのふれの角を とする。屈折の法則により屈折率 と などとの間には
(1)
の関係がある。また
(2)
(3)
の関係があるので、 は の関係となる。特にプリズムが与えられたときには は のみの関数である。しかるに(1)、(2)、(3)式によりそれぞれ
(4)
(5)
(6)
が得られる、これらを用いて
(7)
が得られる で、 が極値となるのは 、したがって ...