「地域福祉の概念規定における機能的アプローチと構造的アプローチについて述べよ」
「地域福祉」とは、自分たちが住んでいる「地域」という場所に主眼を置いたものであり、子どもから老人まで、障害のある人もない人も、全ての人々が地域において自立した生活が送れるよう、地域住民が共に支え合う仕組みを具体化したものである。行政による制度的な福祉(フォーマルケア)に加えて、NPOやボランティア団体等の市民組織による福祉(インフォーマルケア)が有機的に結合して、自立生活を支える(ケア・バイ・ザ・コミュニティ)へと展開されることである。したがって、「地域福祉」は、多様な住民活動やボランティア活動、NPO活動、福祉サービス、教育・就労・住宅など、生活関連分野と連携したまちづくりを、具体的な活動・サービス等で構成される。
このように、多様な分野にわたる地域福祉の概念をとらえていくアプローチを、構造的アプローチと機能的アプローチとして整理している。これらは、地域福祉政策や事業活動を地域福祉の持つ、機能と構造の両面からとらえている。機能とは「相互扶助機能・福祉ニーズ充足機能・生活問題解決機能」等であり、構造とは「法律・行財政、組織・資金・人材」等が代表的である。両アプローチは、相互補完的な関係にあり、どちらかだけでは地域福祉は成り立たない。
1.構造的アプローチ
構造的アプローチは、社会福祉理論における構造的な立場から地域福祉を把握しようとする接近法である。このアプローチは、さらに「政策制度的アプローチ」、「運動論的アプローチ」に分類される。いずれにしても、地域福祉を政策として捉えるところに特徴があるが、なんらかの国家意思の働いた階級支配の政策として地域福祉が成立すると仮定している。
(1)政策制度的アプローチ
国家独占資本主義段階にある政府が、資本蓄積に伴う国民大衆の貧困化の一形態として現れた、生活問題に対する地域対策として地域福祉政策を規定する。その内容は、教育や医療などの社会的共同サービス、賃金や労働条件の確保などの労働施策、社会保障施策、住宅や環境整備などの社会的共同生活手段である。
(2)運動論的アプローチ
地域福祉政策をめぐる地域福祉の実態を捉える場合、政策と運動との互いに張り合う拮抗関係の中で、政策主体、労働主体、国民主体の「三元構造」として把握しなければ、真の地域福祉政策の実像をつかんだことにはならないという立場にたっている。その内容は、地域の経済的基盤を強め、住民の生活の基礎を発展させること、過疎・過密問題に見られるような生活の社会的・共同的な再生産の部分のゆがみや遅れを整備していくことである。これらの措置は、住民の自主的な参加や運動によって行われる。
以上のように2つに分類される、構造的アプローチの特徴は以下の通りである。
①地域福祉を国家独占資本主義段階における政府・地方自治体がとる社会問題対策のひとつと規定する。
②地域福祉政策の対象を資本主義の生み出す貧困問題を中心とした生活問題とし、主に貧困・低所得者階層に対応する。
③最低保障を基本とした地域における生活水準の向上を根底から支える。
④地域福祉の内容は、地域の住民運動等を通じて決定される。
⑤地域福祉政策は、公的責任に基づいて行なわれる。福祉サービス受益者負担に関しては、料金の無料化を目指す。
2.機能的アプローチ
機能的アプローチは、社会福祉理論における機能論的な立場に基づいて地域福祉を捉えようとする接近法である。このアプローチは、さらに「主体論的アプローチ」、「資源論的アプローチ」に分類さ
「地域福祉の概念規定における機能的アプローチと構造的アプローチについて述べよ」
「地域福祉」とは、自分たちが住んでいる「地域」という場所に主眼を置いたものであり、子どもから老人まで、障害のある人もない人も、全ての人々が地域において自立した生活が送れるよう、地域住民が共に支え合う仕組みを具体化したものである。行政による制度的な福祉(フォーマルケア)に加えて、NPOやボランティア団体等の市民組織による福祉(インフォーマルケア)が有機的に結合して、自立生活を支える(ケア・バイ・ザ・コミュニティ)へと展開されることである。したがって、「地域福祉」は、多様な住民活動やボランティア活動、NPO活動、福祉サービス、教育・就労・住宅など、生活関連分野と連携したまちづくりを、具体的な活動・サービス等で構成される。
このように、多様な分野にわたる地域福祉の概念をとらえていくアプローチを、構造的アプローチと機能的アプローチとして整理している。これらは、地域福祉政策や事業活動を地域福祉の持つ、機能と構造の両面からとらえている。機能とは「相互扶助機能・福祉ニーズ充足機能・生活問題解決機能」等であり、構造とは...