1.目的
集中定数回路における抵抗、容量、インダクタンスを測定することにより、これらを形成する物質の電気的特性を示す体積抵抗率、表面抵抗率、比誘電率、誘電正接、比透磁率、ヒステリシス損などが求まる。ここでは、直流による低抵抗4端子測定、高抵抗3端子測定および交流2端子測定を学ぶために、以下の三つのテーマの実験を行う。
(ⅰ)ダブルブリッジを用い、導体抵抗率を4端子測定法によって測定し、その体積抵抗率を求める。
(ⅱ)高抵抗計を用い、絶縁物の抵抗を3端子測定法によって測定し、その体積抵抗率と表面抵抗率を求める。
(ⅲ)Qメータを用い、2端子共振法によってコイルのインダクタンスと抵抗値、高抵抗及び低抵抗の抵抗値とリアクタンス値を求める。
2.原理
2.1 低抵抗の測定
4端子測定法は、(指導書p1図1(C)のように)電流流入端子A、流出端子Bの内側に一対の電圧測定端子C,Dを設ける。このように素子自体は本来2端子であるにも関わらず、端子を4つ設けることによって、インピーダンス測定領域を電圧測定端子間C,Dに限定することができる。すなわち、電流Iによる端子A及びBのインピーダンスおよびAC、DB間の導線のインピーダンスによる電圧降下は、測定対象となるCD間の電圧降下に含まれない。
ケルビンのダブルブリッジ(指導書p2参照)は、4端子構成の標準抵抗 、被測定抵抗 の電流端子を互いに直列に接続して共通の電流Iを流し、各々の電圧端子に現れる電圧降下を比較測定するブリッジである。このブリッジの平衡条件すなわち検流計Gを流れる電流が零となる条件を求めると、
となり、電圧端子CF間の抵抗rの値が含まれる。rは未知であるが、
となるように比例辺抵抗 、 の切り換えを 、 の切り換えと連動して行うと、上式の右辺第2項は零になるため、
となり、rの値は平衡条件と無関係になる。細かい調整は、標準抵抗 を調整するこ
1
とによって行われる。
2.2 高抵抗の測定
体積抵抗率ρの大きい絶縁物を測定する場合には、対抗面に導体電極を形成したあまり厚くない板状の試片を用意し、被測定抵抗値が極端に高くならないようにする。今回の測定の電極配置(詳細は指導書p19図6)においては、試片を挟んで対向する主電極M、対電極Hが共に導体円盤で、対電極Hより直径の小さい主電極Mの周囲にはリング状のガード電極Gが配置してある。主電極Mの半径rmの外側を流れる電流は、ガード電極Gを通る。したがって、検流計Aには半径rmの内側を流れる電流のみが流れる。電圧計Eで測定される印加電圧をV(V)、検流計Aに流れる電流I(A)とすれば、試片の体積抵抗率ρ(Ωm)は
(t:試片の厚さ(m)、rm:主電極半径(m))
より求められる。
また、表面抵抗率σ(Ω)を測定する場合の電極配置図(指導書p20図7参照)を見てみると、体積低効率の測定の配置図と違い対電極Hとガード電極Gが入れ代わっている。この電極配置では、主電極Mと対電極Hの間にできるリング状の隙間の試片の表面を流れる電流のみが検流計Aを通り他の電流はガード電極Gを通る。印加電圧V(V)、検流計Aを流れる電流をI(A)、主電極Mと対電極Hの間隔をg(m)とすれば、表面抵抗率σ(Ω)は、
ここで、r0(m)は主電極Mの外半径rm(m)と、対電極の内半径rh(m)の平均値、つまり(r0+rm)/2(m)である。
高抵抗に電圧を印加した後に流れる電流の時間変化に関して、電圧印加時間の影響については、材料によって大小の差はあるが、すべて
1.目的
集中定数回路における抵抗、容量、インダクタンスを測定することにより、これらを形成する物質の電気的特性を示す体積抵抗率、表面抵抗率、比誘電率、誘電正接、比透磁率、ヒステリシス損などが求まる。ここでは、直流による低抵抗4端子測定、高抵抗3端子測定および交流2端子測定を学ぶために、以下の三つのテーマの実験を行う。
(ⅰ)ダブルブリッジを用い、導体抵抗率を4端子測定法によって測定し、その体積抵抗率を求める。
(ⅱ)高抵抗計を用い、絶縁物の抵抗を3端子測定法によって測定し、その体積抵抗率と表面抵抗率を求める。
(ⅲ)Qメータを用い、2端子共振法によってコイルのインダクタンスと抵抗値、高抵抗及び低抵抗の抵抗値とリアクタンス値を求める。
2.原理
2.1 低抵抗の測定
4端子測定法は、(指導書p1図1(C)のように)電流流入端子A、流出端子Bの内側に一対の電圧測定端子C,Dを設ける。このように素子自体は本来2端子であるにも関わらず、端子を4つ設けることによって、インピーダンス測定領域を電圧測定端子間C,Dに限定することができる。すなわち、電流Iによる端子A及びBのイ...