1、 目的
大きな電力を扱う装置を構成する回路素子は形状が大きくなるだけでなく、微弱 な信号を取り扱う素子とは異なった特性を考慮したものでなくてはならない。この実験では、電力用の各種回路素子の形状、大きさなどを実感として知るとともに、各種の損失が原因となって発生する「熱」について体験的に学ぶ。
2、 実験方法
1)電線の溶断実験
第1図(p2)に示す回路を用いて実験を行う。
断面積0.26mm2、0.4mm2のビニール線を2本ずつ約80cmに切断し、第2図(指
導書p2)の形にして、約2cmずつ両端の被覆をはがしておく。また、直流抵抗の
銘盤をよみ数値その他を記録する。
0.26mm2の線については10A、20A、0.4mm2については20A、30Aの電流を流
す。電源電圧20V~80Vで実験が行えるように、適切なノッチを選ぶ。
試料をセットし、電源装置の電源をONにして、調整ハンドルで必要な電圧に調整する。次に出力をONにして試料に流れる電流を読み取る。
5分ほどたっても試料に何の現象も生じなければ、出力をOFFにし、次の電流値で実験を繰り返す。
電流ごとに生じた現象をよく観察し、記録しておく。
2) 抵抗の焼損実験
定格1W、2Wの抵抗の抵抗値と寸法を記録する。
各々の抵抗で10Wの電力を消費させた時に生じる現象を実験2.1と同様の手順
で観察し、記録する。ノッチの選定と電圧の設定を行う場合、試料の抵抗値を考
慮に入れ、また定格2Wの抵抗から先に試験する。
3) 電線の束の温度上昇
一端を短絡した平行ビニール電線の束(長さ20m、断面積1.25mm2)の抵抗値を計算で求め、定格電流(12V)が流れるよう直列抵抗、電源電圧を設定する。回路は第3図(指導書p4)を用いる。
電線束の中央部に温度計を挿入し、電流を流し、10~30秒ごとに電圧・電流、温度変化を記録する。5分経過するか温度が55℃を超えたら実験を停止する。
温度が35℃以下になるのを待って、定格電流の1.5倍(18V)で同様に実験を行う。
1
4) 電力用各種素子の外観
オイルペーパーコンデンサの体積と蓄積エネルギーの関係をグラフにする。そのために各オイルペーパーコンデンサの寸法を計測し記録しておく。
ホーロー抵抗器の定格電力と表面積の関係をグラフにする。同様に、寸法を計測し記録しておく。
5) 抵抗箱の設計演習
抵抗器単体の抵抗値は1、1.5、2.2、3.3、4.7、6.8×10nの中から選ぶ。学籍番号の最後の桁を3で割った余り0~2に従い、抵抗器単体の定格200、300、400Wのものを用い、それぞれ連続定格1000、1200、1600Wで50Ω(±10%)の抵抗箱を設計する。単体の抵抗を直並列に組み合わせ上記の定格を満足させる。また、抵抗器の取り付け間隔40mm~75mmを考えた場合、箱の外形寸法を最小とするには、どのような構成にするのがよいか考え、その場合の温度上昇を求める。
3、 使用機器
直流電流源、直流電流計、直流電圧計、箱型抵抗器、テスター、温度計、オイルペーパーコンデンサ、ホーロー抵抗器
4、 結果
(ⅰ) 電線の溶断実験
各番号に対応したノッチの抵抗を以下にまとめた。
表1: 各ノッチの抵抗表
番号 抵抗(Ω) 番号 抵抗(Ω) 1 23×10^6 12 4.3 2 50.5 13 3.9 3 24.7 14 3.6 4 15.9 15 3.4 5 12 16 3.1 6 9.5 17 3
1、 目的
大きな電力を扱う装置を構成する回路素子は形状が大きくなるだけでなく、微弱 な信号を取り扱う素子とは異なった特性を考慮したものでなくてはならない。この実験では、電力用の各種回路素子の形状、大きさなどを実感として知るとともに、各種の損失が原因となって発生する「熱」について体験的に学ぶ。
2、 実験方法
1)電線の溶断実験
第1図(p2)に示す回路を用いて実験を行う。
断面積0.26mm2、0.4mm2のビニール線を2本ずつ約80cmに切断し、第2図(指
導書p2)の形にして、約2cmずつ両端の被覆をはがしておく。また、直流抵抗の
銘盤をよみ数値その他を記録する。
0.26mm2の線については10A、20A、0.4mm2については20A、30Aの電流を流
す。電源電圧20V~80Vで実験が行えるように、適切なノッチを選ぶ。
試料をセットし、電源装置の電源をONにして、調整ハンドルで必要な電圧に調整する。次に出力をONにして試料に流れる電流を読み取る。
5分ほどたっても試料に何の現象も生じなければ、出力をOFFにし、次の電流値...