近代自然法論の歴史的意義について論じなさい
1 序論
一般に自然法というと、自然を基礎にして成立する法のことである。つまり、人間によって作成さ
れた法ではないということである。しかし、自然というものをどのように考えているかとなると時代
いる。一方、ここで議論する近代自然法思想の場合は、「自然」を人間の本性という合理的なもの
と考えている。従って近代自然法思想は中世の神学的な世界観に対する1 種の批判を意味して
いる。ここで近代とは、17 世紀から 18 世紀までのいわゆる近代自然法論の時代を指す。この時
代において、
中世的なヨーロッパの精神的統一が崩れ、数々の市民国家が勃興する。宗教戦争
がこれに拍車をかけ、世俗と教会という二元的世界観はその妥当性を失ったため、市民国家の正
当化と、各市民国家間の法的関係が、自然法論の主要な目的となった。このように、諸要因が重
なり合って中世的な神の主宰する1
代自然法思想である。
2 本論
近代自然法思想とは、人間の理性によって発見される合理的な普遍妥当的な規範の存在を認め
これによって、人間の社会に現実に妥当する人為的な法、つまり、実定
近代自然法論の歴史的意義について論じなさい
1 序論
一般に自然法というと、自然を基礎にして成立する法のことである。つまり、人間によって作成さ
れた法ではないということである。しかし、自然というものをどのように考えているかとなると時代
によってその内容にかなりの相違点がある。例えば、中世の自然法は「自然」を神の意思とみて
いる。一方、ここで議論する近代自然法思想の場合は、「自然」を人間の本性という合理的なもの
と考えている。従って近代自然法思想は中世の神学的な世界観に対する 1 種の批判を意味して
いる。ここで近代とは、17 世紀から 18 世紀までのいわゆる近代自然法論の時代を指す。この時
代において、中世的なヨーロッパの精神的統一が崩れ、数々の市民国家が勃興する。宗教戦争
がこれに拍車をかけ、世俗と教会という二元的世界観はその妥当性を失ったため、市民国家の正
当化と、各市民国家間の法的関係が、自然法論の主要な目的となった。このように、諸要因が重
なり合って中世的な神の主宰する 1 大階層秩序は内部から取り崩されそこに登場してきたのが近
代自然法思想である。
2 本論
近代自然法思想...