W.フォークナーとJ.スタインベックについて代表作を挙げながら論ぜよ。
フォークナーはアメリカ南部に居を置いた作家で、伝統的な家の親戚縁者から聞いた話や黒人の乳母から聞いた昔話など南部の物語が彼の内面に深く刻み込まれ、作品にも影響を与えた。『兵士の報酬』(1926)では第一次世界大戦で重傷を負い、生きる屍となって南部の郷里に帰った兵士や戦争未亡人のことを描いている。彼の作品の多くは、架空の土地「ヨクナパトーファ」を舞台とし、新しい土地を開発し、貴族と奴隷達との農園生活が築かれるのも束の間、その伝統はやがて没落と退廃の運命を辿り、代わって出てきた新興階級も現代文明に毒されながら息絶えていく。
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