会社法Ⅱ 決算と違法配当

閲覧数2,762
ダウンロード数5
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    会社法Ⅱ
    決算と違法配当
    問題)株式会社の決算に関し、以下の問いに答えよ。
    (1)会社ではなぜ決算手段が必要となるのか。
    (2)A会社の代表取締役Bは、取締役会決議を経て、配当する利益もないのに、
    会社の評判を維持するために、無理に利益配当を行った。Bの行為の法的評価は
    どうか。利益はあるが、取締役会の決議を経ていない場合の法的評価はどうか。
    1.序説
    2.株式会社における決算手続の必要性
    3.違法配当
    4.取締役の責任
    5.検討
    1.序説
    会社は、一定の営業目的の中で利潤を最大化するために設立される。特に株式会社にお
    いては、会社の経営者と出資者たる所有者が分離することで、経営と所有の分離が図られ
    ているために、会社組織の内部では、より多くの利益配当を欲する株主と、利益を会社内
    部に留保し債権の引き当て等に充当させることを目的とする債権者との目論見が交錯する。
    これら相反する要請をどのように理解すべきか。(1)では、決算手続の必要性、(2)で
    は、違法配当した事例を基に取締役らの責任について検討する。
    2.株式会社における決算手続の必要性
    株式会社においては、株主が出資し、その資金を元に企業が営業活動を行い、その活動
    得た利益は株主に還元されることで成り立っている。経営学では、利潤の最大化が会社の
    目的とされ、経済学では、企業の究極目的は株価の上昇であるとされる(トービンの q 理
    論)。これは、株式会社の最大の利害関係人は株主であり、利益があれば会社はそれを全て
    株主に配当するべきであり、配当額・配当性向が上昇すれば、業績好調という株式市場の
    評価を得ることにつながり、株価の上昇を招き、ひいては株主は更なるキャピタル・ゲイ
    ンを手に入れることができるという考えに基づいている。しかしながら、会社の利害関係
    人は株主だけではない。会社に対し資金を提供している金融機関や、原材料等の売掛金を
    持つ債権者などは、株主とは全く逆に、利益は会社内部に留保し、自らの債権の満足のた
    めに引き当てをすることを望む。こうした会社を取り巻く利害関係人間では、利害の対立
    が生じる。この対立を調整するために、商法の「計算手続」がある。
    前述のように、会社情報に関して、外部の関係者の関心はそれぞれに異なるのが通常で
    ある。株主や投資家は、株価との関係から、会社の収益力に関する情報に関心が集まるの
    に対し、会社債権者は、支払確保のために、会社の信用状態(支払能力、信用能力、破産
    原因の有無)にかかわる情報や会社財産の流出につながる利益配当の動向に大きな関心を
    持つ。そこで、株式会社には、それぞれの事項に関する数種類の計算書を作成し、開示す
    ることが義務付けられている。
    計算書類には、貸借対照表( B/S)、損益計算書(P/L)、営業報告書、利益処分案など
    がある。貸借対照表は、会社の財政状態を明らかにするため、一定の日(決算期)におい
    て会社が保有する資産、負債および資本を適当な区分、配列および分類に従って記載する
    概括表である。資産と負債のバランスを示す書類であることからバランス・シートとも呼
    ばれる。これは、会社債権者にとって大きな関心の対象となる書類である。一方、損益計
    算書は会社の経営成績を明らかにするため、前営業年度において発生した費用と収益を対
    照し、その期間内の営業成績を明らかにする計算書である。これは、株価に大きく影響す
    るため、株主や投資家の関心は大きい。営業報告書とは、前営業年度における営業の経過
    及び会社の状況を示す報告書

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    会社法Ⅱ
    決算と違法配当
    問題)株式会社の決算に関し、以下の問いに答えよ。
    (1)会社ではなぜ決算手段が必要となるのか。
    (2)A会社の代表取締役Bは、取締役会決議を経て、配当する利益もないのに、
    会社の評判を維持するために、無理に利益配当を行った。Bの行為の法的評価は
    どうか。利益はあるが、取締役会の決議を経ていない場合の法的評価はどうか。
    1.序説
    2.株式会社における決算手続の必要性
    3.違法配当
    4.取締役の責任
    5.検討
    1.序説
    会社は、一定の営業目的の中で利潤を最大化するために設立される。特に株式会社にお
    いては、会社の経営者と出資者たる所有者が分離することで、経営と所有の分離が図られ
    ているために、会社組織の内部では、より多くの利益配当を欲する株主と、利益を会社内
    部に留保し債権の引き当て等に充当させることを目的とする債権者との目論見が交錯する。
    これら相反する要請をどのように理解すべきか。(1)では、決算手続の必要性、(2)で
    は、違法配当した事例を基に取締役らの責任について検討する。
    2.株式会社における決算手続の必要性
    株式会社においては...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。