感染症の予防について答えよ
⑴感染症の予防の重要性
人類は、これまで、疾病、とりわけ感染症により、多大の苦難を経験してきた。ペスト、コレラ等の感染症の流行は、時には文明を滅亡の危機に追いやり、感染症を根絶することは、正に人類の悲願と言えるものである。医学医療の進歩や衛生水準の著しい向上により、多くの感染症が克服されてきたが、特にここ数年来、世界的に新興・再興感染症が問題になってきた。
平成15年春には「重症急性呼吸器症候群(SARS)」が大流行し、「高原性病原鳥インフルエンザ」や「ウエストナイル熱」などの新興感染症が人類に脅威を与えている。また、平成13年の同時多発テロ以降、犯罪集団が意図的に重篤な感染症をまん延させることを想定した対応も課題となっている。更に、航空機等の移動手段が発達した現代において、感染症は、短時間での人や物の移動により、瞬く間に世界各地に広がるなど、感染症を取り巻く環境は大きく変わってきている。こうした状況を踏まえた対策が必要とされている。
⑵感染症の予防
国の対策として、「 感染症を制圧し、国民の保健医療の向上を図る予防医学の立場から、 広く感染症に関する研究を先導的・独創的かつ総合的に行い、 国の保健医療行政の科学的根拠を明らかにし、 また、 これを支援する」を目的とした国立感染症研究所があり、ここを中心とした地方衛生研究所等との連携によって、感染症等の制圧目的としたネットワークが形成されている。具体的な内容を見ていこう。
病原体に対する対策
特に新興・再興感染症として位置づけられている疾患及び旧来により存在する重要疾患の病原体の分子生物学解析に加え、それらの迅速診断法及びワクチン等の開発・研究などを前述した国立感染症研究所が中心に行っている。また
感染症レファレンス活動(感染症に関する検査システムを確保するために必要なすべての活動)の一環として、病原体等(病原微生物及びそれらの産物、寄生動物、媒介動物)の保管、分与、感染症の診断・検査や疫学調査等に用いる試薬の標準化及び標準品の製造・分与、専門技術者の教育、情報交換等である。
このような感染症レファレンス活動を円滑に運営するために、1986年(昭和61)にはレファレンス委員会が設置され、さらに地方衛生研究所等との連携によって、感染症等の制圧目的としたネットワークが形成されている。
またわが国のサーベイランス事業の一環として、地方衛生研究所からの病原体検出報告及び定点診療所からの患者発生状況を当研究所で集計評価し、その結果を国民に提供している。更に感染症の流行や集団発生時においては、その免疫学調査、並びに外国の感染症情報機関と情報交換を行う。これらの業務をより有効に推進する中核組織として1997年(平成9)4月には感染症情報センターが設置された。
②個人の感受性に対する対策
個人の感受性に対する対策としては、保健所が
健康診断や入院、就業制限などを行うが、患者・家族に十分な事前説明を行い、理解を得るように努める。また、患者・家族に対して必要な援助を行う場合、人権に十分配慮する。
保健所が入院が必要と認めた場合は、その入院先である感染症指定医療機関は、医者が患者に対して十分に説明を行い、患者の同意に基づいた対応を行うことが重要である、入院の後も必要に応じて十分な相談と説明を行い、患者・家族及び関係者の精神的不安の軽減を図る。
さらに、平常時から感染症に関する知識の普及の啓発に努め、患者・家族等への差別や偏見を排除する。さらに、感染症患者の円滑な職場復帰や再登校のた
感染症の予防について答えよ
⑴感染症の予防の重要性
人類は、これまで、疾病、とりわけ感染症により、多大の苦難を経験してきた。ペスト、コレラ等の感染症の流行は、時には文明を滅亡の危機に追いやり、感染症を根絶することは、正に人類の悲願と言えるものである。医学医療の進歩や衛生水準の著しい向上により、多くの感染症が克服されてきたが、特にここ数年来、世界的に新興・再興感染症が問題になってきた。
平成15年春には「重症急性呼吸器症候群(SARS)」が大流行し、「高原性病原鳥インフルエンザ」や「ウエストナイル熱」などの新興感染症が人類に脅威を与えている。また、平成13年の同時多発テロ以降、犯罪集団が意図的に重篤な感染症をまん延させることを想定した対応も課題となっている。更に、航空機等の移動手段が発達した現代において、感染症は、短時間での人や物の移動により、瞬く間に世界各地に広がるなど、感染症を取り巻く環境は大きく変わってきている。こうした状況を踏まえた対策が必要とされている。
⑵感染症の予防
国の対策として、「 感染症を制圧し、国民の保健医療の向上を図る予防医学の立場から、 広く感染症に関する研究...