1 株主総会はなぜ形式でしかないのか。また日本ではなぜ形骸化しているのか。
株式会社の重要な指針決定の場であり、または、投資者との数少ない意見交流の場であるはずの、株式総会がなぜこのようなことになっているのだろうか。株式会社においては、株主総会が、重要事項を決定するための最高議決機関として法制化されているのは、周知の事実である。重要事項の決定は、必ず株式総会の議決を経ることが、商法によって義務づけられているのだ。しかし、その株式総会で実際に重要な決議がなされている、ということは皆無だというのだ。現実に、株式総会が果たす役割といえば、経営者があらかじめ決定した重要事項を提案通りに承認し、経営者の決定を援護するだけなのである。
その理由は次のことにあるのだろう。株主会社の支配が、一株一票の原理に基づいていることである。この原理のもとでは、大株主に議決権が集合してしまう。あえて投票するまでもなく、大株主の意向が全体を制することは自明であるから、大株主は議案にとりたてて問題が無いかぎり原案賛成の委任状を提出し、株主総会に出席さえもしない。よって中小株主は、遠いところわざわざ時間をかけて来たとしても、自分の意見を反映できるわけでもないのである。そして結局出席しない。物好きな、株主がある程度出席して、議事は、経営者が用意した筋書き通りに進んでいくのである。つまり、日本の株式会社の株主が機関株主によって多く占められている株主構造が、形式化を産んでいるといえるだろう。
そして、さらには、株主総会は株主との対話の場としても、満足に機能をはたさなくなっているのである。その原因は総会屋の存在にある。日本の株主総会の主役は、総会屋であるとも言える。総会屋には、経営者を追及して総会に波風を起こすか、あるいは経営者にとりいって総会の進行を取り仕切るかの2パターンに分けられる。
経営学原理レポート
一橋大学 商学部3年生
1103125m 佐々木 裕樹
1 株主総会はなぜ形式でしかないのか。また日本ではなぜ形骸化しているのか。
株式会社の重要な指針決定の場であり、または、投資者との数少ない意見交流の場であるはずの、株式総会がなぜこのようなことになっているのだろうか。株式会社においては、株主総会が、重要事項を決定するための最高議決機関として法制化されているのは、周知の事実である。重要事項の決定は、必ず株式総会の議決を経ることが、商法によって義務づけられているのだ。しかし、その株式総会で実際に重要な決議がなされている、ということは皆無だというのだ。現実に、株式総会が果たす役割といえば、経営者があらかじめ決定した重要事項を提案通りに承認し、経営者の決定を援護するだけなのである。
その理由は次のことにあるのだろう。株主会社の支配が、一株一票の原理に基づいていることである。この原理のもとでは、大株主に議決権が集合してしまう。あえて投票するまでもなく、大株主の意向が全体を制することは自明であるから、大株主は議案にとりたてて問題が無いかぎり原案賛成の委任状を提出し、株...