*実際には経営活動をしていない取締役の責任
さて、実際には経営活動をしていない取締役の第三者に対する責任についてであるが、これについては最判48年5月22日の事例を挙げて考察する。
本件は、株式会社の代表取締役が独断で業務を執行し、かつ手形を振出したため、会社が倒産して手形が不渡となり、これにより損害を被ったXらが損害賠償をA会社の平取締役Yらに求めた事案である。
ここでの争点は、取締役の第三者に対する責任を認めるか否かである。そこでは、取締役の監視義務違反の有無が論点となる。
一、二審とも、取締役Yらには、代表取締役Aの業務執行について監視・監督する職務があるとして、会社設立後倒産に...