日本の救貧制度(恤救規則、救護法、旧生活保護法、新生活保護法)について説明せよという内容で書きました。
日本でも世界でも福祉の始まりは救貧制度である。イギリスでは「エリザベス救貧法」が、日本では「恤救規則」がそれにあたる。日本の救貧政策は、恤救規則、救護法、旧生活保護法、新生活保護法と流れていく。
「恤救規則」は、戦後の生活保護法に相当する戦前日本の基本的な救貧法令である。1874年に告示され、救護法が施行されるまで、60年近く機能した。恤救規則は、民間(私)による相互扶助を基本とし、それらに頼ることのできない「無告の窮民」を公的救済の対象とした。具体的に、恤救規則で救済対象となるのは、「極貧」で「独身」かつ、労働能力のない障がい者、重病あるいは老衰の70歳以上高齢者、病弱者、13歳以下の孤児であった。救済内容は米代としてのわずかな現金支給のみであった。
「救護法」は1929年に公布され、1932年に施行された。この時代は、第一次世界大戦後の不況(1920年~)、関東大震災(1923年)、昭和金融恐慌(1927年)など、国民生活に打撃を与える経済状況が相次いだ。それによって引き起こされる社会問題は恤救規則で対応できないことが明らかになったため救護法が制定された。しかし、施行については付...