「源氏物語における末摘花の造型」において、「金剛醜女説話」を確実に使用していると思われる箇所を抜き出し説明しなさい。
まず初めに「金剛醜女」について簡単に説明する。
「賢愚経」によると、主人公の波斯匿王の娘「波闍羅」(金剛)は前世において王家に生まれるが、心中に聖者の醜さを蔑んだ罪により、顔が極めて醜悪に生まれつく。人離れした醜さであるが、末利夫人が生んだ娘なので、外の人に見せないように育てられる。波斯匿王は貧困の若者を探し娘婿にするが、金剛を見せないように鍵をかけられ幽閉される。金剛は悩み「我は何の罪により幽閉されるのか」と念じると、「精誠・敬心・純徳」であったので、仏は志を知り、端厳美麗に変わる。
次に「末摘花」について簡単に説明をする。
「源氏物語」に登場する女君の中で、類い稀な醜女である。常陸宮の娘である。高貴な身分に生まれながら普賢菩薩の乗物である白象に喩えられ、醜い女として描かれる。頑愚な性質も失笑の対象とされるが、蓬生巻では宮家の遺風を守る高貴な精神性の際立つ描かれ方となり、著しい窮乏生活において「源氏」を信じ待ち続ける姫君である。
「金剛醜女」と「末摘花」との間に、...