私がこの設題を選んだ理由は、児童画が、年齢によってどのように発達し、どのように教育していけばいいのか、興味が湧いたからである。
生後一年、二年までの子どもに、何らかものを描く用具を与えると、何か表現しようとする衝動を起こす。そこで、クレヨンか鉛筆と白い画用紙を用意すると、精一杯なぐり書きをする。最初は上下、左右の手の運動や円運動を起こして、錯画または衝動画と呼ばれるものを描く。
三歳、四歳までの子どもたちは、絵を描くことに興味を持ってくる。相変わらず何を描いたのかさっぱりわからない絵も多いが、色々な形のものを描き、「これはお父さん。」「これはお母さん。」などと説明を加える。このように、一枚の絵に出来上がっていないが、何やらものの形が発見できる絵を形態画と呼ぶ。
一つの図式表現であるが、生活意欲が高まってくると、見たこと、知っていることを紙の上にクレヨンや鉛筆類で表現しようとする。しかし、子どもたちの中にはクレヨン類を持たせても、何の反応も示さない子どももいる。この場合、難しいことを指導して、絵を描くことに恐怖心を起こさせているように思う。絵とは何か、特にこの時期の絵とは何かにつ...