前書)
民法は、709の不法行について、特殊の係にある者の特別な賠償責任について規定を設けている。共同不法行(719)は、この特殊の不法行のひとつである。これら特殊の不法行については、多くは普通の不法行の要件のうち、故意、過失を減したものであるといえる。
1)共同不法行者の責任
人が共同の不法行によって他人に損害を加えたときは、各自が連してその損害を賠償する責任を負う。共同行者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同とする(7191項)
行者を唆した者及び幇助した者は、共同行者とみなして、前項の規定を適用する
(7192項)。
2)共同不法行の存在理由
709の不法行が競合する場合は、709の解によって、複の加害者は損害額の全額を賠償しなければならないという考え方に立つと、709の不法行が競合する場合に、7191項前段を適用して、不正連債務という果を導く判例の見解は、意味を失う。そこで、719前段の存在理由として、709によっては損害賠償を負わない者が、7191項前段にもとづいて損害賠償責任を負うという解が試みられるべきである。
3)共同不法行
前書)
民法は、709条の不法行為について、特殊の関係にある者の特別な賠償責任について規定を設けている。共同不法行為(719条)は、この特殊の不法行為のひとつである。これら特殊の不法行為については、多くは普通の不法行為の要件のうち、故意、過失を軽減したものであるといえる。
1)共同不法行為者の責任
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする(719条1項)
行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する
(719条2項)。
2)共同不法行為の存在理由
709条の不法行為が競合する場合は、709条の解釈によって、複数の加害者は損害額の全額を賠償しなければならないという考え方に立つと、709条の不法行為が競合する場合に、719条1項前段を適用して、不真正連帯債務という効果を導く判例の見解は、意味を失う。そこで、719条前段の存在理由として、709条によっては損害賠償を負わない者が、719条1項前段にもとづい...