(1) そもそも、弁論主義の第2テーゼは「裁判所は、当事者間で争いのない事実に反する事実を裁判で採用してはならない」としており、争いのない事実とは自白を意味する(179条 自白法則)。本件では、Xの「Yに平成26年7月1日に500万円を貸し付けた」という主張につき、Yが「それについては認める」としたもので、当事者の主張に相違はなく、争いのない事実といえる。
そして、裁判上の自白とは、口頭弁論期日又は争点整理手続き期日における、相手方の主張と一致する、自己に不利益な事実を認める旨の弁論としての陳述のことをいうところ、
「自己に不利益な事実」とは、相手方が証明責任を負う事実をいう。Yが行った自白は、Xが「Yに平成26年7月1日に500万円を貸し付けた」という相手方の主張と一致するし、Yが自白しなければXが証明しなければならないものであり、自己に不利益な事実を認める事であり、裁判上の自白に当たると解する。
裁判上の自白の効果は、①前述の弁論主義(第2テーゼ)を根拠に、自白事実については、裁判所に対する拘束力を有する(審判廃除効)。その結果、②当事者は積極的に証明する責任がなく(179条)、...