慶應義塾大学通信教育課程
経済学部専門科目「経済史」の合格レポートです。
レポート課題:保護貿易への回帰に対する経済史的知見の有効性について考察せよ
あくまでもレポート作成の参考としていただき,コピペによる流用はなさらないようにお願いします。
経済史
保護貿易への回帰に対する経済史的知見の有効性の考察
第1章はじめに
1.1現代社会が直面する危機
2016年のアメリカ大統領選挙において,大方の予想を裏切り勝利したのは,環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱や海外移転する企業への高関税などの保護貿易的な政策を主張する,ドナルド・トランプであった。
同じく2016年のヨーロッパでは,大量の移民流入に国民の不満が高まっていたイギリスにおいて,欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票が実施され、離脱が賛成多数を集めた。
これらの2つの出来事を,国際社会は大きな衝撃とともに受け止め,世界の金融市場は混乱をきたした。(1)(2)
近年の世界経済は,グローバル化の実現の旗印の下,貿易の自由化を推進し,資本や労働力の移動を自由化し,ヨーロッパでは通貨の統合まで成し遂げてきた。しかし,これらのグローバル化を積極的に推進してきた米英両国において,保護貿易・自国優先主義への回帰とみなされる出来事が起きたことにより,世界経済は混乱に陥るであろうとの悲観的な見方が世界のあちらこちらから発信されている。
これまでの歴史を振り返ると,保護貿...