1.アダム・スミス『国富論』
国富論は、18世紀のイギリス財政を背景に、当時の重商主義政策による様々な規制を批判したものである。スミスは、経費のあり方について以下の主張を行った。①国家は不生産的であり、政府関係者は富や生産物を消費する存在であること。経済への政府の介入も望ましくないこと。②しかし政府が提供する防衛、司法、公共事業および公共施設といった公共サービスは、民間事業や市場経済が円滑に機能するために不可欠であること。主権者の権威維持のための経費も同様であること。③政府経費の絶対額は国家の発展とともに拡大せざるを得ないこと。しかし国民経済も成長するので、「大きな政府」にはならないこと。実際、19世紀のイギリスでは政府支出規模が国民経済の10%に抑えられ、「小さな政府」であった。
租税を課す際の原則としては、租税4原則を挙げた。①公平。租税能力に応じた負担(応能原則+応益原則)であること。②明確。支払い金額・納税の時期・支払い方法が明瞭であること。③便宜。支払うのに都合のよい時期や方法であること。④徴税費節約。徴税の費用を節約すること。またこの他にも、生産の妨げになりにくい租税をか...