『クレジットカードの不正使用』
1.クレジットカードの不正使用
クレジットにおける取引においては、会員は加盟店にクレジットカードを呈示し、売上票に署名の上商品を購入し、中間に介在するクレジット会社は、加盟店に購入代金を加盟店の預金口座に振り込むことによって立替払いを行い、後日その金額を会員の預金口座から取り立てる仕組みになっている。
クレジットカードの不正使用とは、クレジット会員が代金支払いの意思または能力がないのに、自己名義のクレジットカードを使用して、加盟店から物品を購入する行為である。このような行為が、詐欺罪を構成するかが問題となる。
2.詐欺罪成立の肯否
まず、加盟店はカードの有効性と署名の同一性を確認すれば信販会社(カード会社)から代金の支払を受けられるのだから、会員が支払意思・能力のないことを秘しても加盟店に錯誤はなく、騙取の手段としての欺罔行為はないとして詐欺罪の成立を否定する説がある。
しかし、クレジットカードを利用して商品等を購入する制度は、中間では信販会社が加盟店に立替払いするが、最後には利用者が信販会社に代金を返済することが前提となっている。とすれば、利用客に代...