裁判員制度

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    『裁判員制度を導入することに憲法上問題はないか』
    1.裁判員制度
    (1)審議会意見書及び裁判員法によると、裁判員制度の骨子は以下のようにまとめることができる。
    ①対象事件は、法定刑に死刑または無期懲役・無期禁錮を含むなど、一定以上の重大犯罪である。
    ②裁判官と裁判員は、共に評議し、有罪・無罪の決定及び刑の量定を行う。裁判員は、評議において、裁判官と基本的に対等の権限を有する。
    ③裁判員が加わる合議体の員数は、裁判官3名、裁判員6名を基本とするが、一定の要件を満たして争いの少ない事件においては、裁判官1名、裁判員4名という構成も可能である。
    ④裁判員の選任は、選挙人名簿から無作為抽出した者を母体とする。裁判員は、具体的事件ごとに選任され、1つの事件を判決にいたるまで担当する。
    ⑤裁判所から召喚を受けた裁判員候補者は出頭の義務を負い、裁判員となった後は宣誓、審理立会い、秘密保持、品位保持などの義務を負う。
    ⑥被告人は、裁判官と裁判員で構成される裁判体による裁判を辞退することはできない。
    ⑦審理中に新たに裁判員として加わった者がある場合には、公判手続を更新する。
    ⑧評議における判断は、構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見による。
    (2)この裁判員制度は、要するに参審制度であるといえる。参審制度とは、「一般人から選ばれた参審員と職業裁判官が合議体を構成して裁判する制度」であり、司法への国民参加という点で陪審制と共通するが、陪審が事実問題の判定に限り裁判官とは別個・独立の機能を果たすのに対し、参審制は「素人が職業裁判官と同格の立場で審理判決に関与する」点に特色があるとされる。裁判員制度の骨子②の点が、参審制そのものであることを示すといえる。
    2.裁判員制度の問題点
    この裁判員制度には、憲法上の問題を含んでいる。憲法は、参審制度について明文を設けてはおらず、また、裁判所において裁判を受ける権利の保障(32条)、司法権が裁判所に属すること(76条1項)、裁判官の職権の独立の保障(76条3項)などを規定する。裁判員制度は、一般国民が司法手続に参与することで、司法の民主化をはかり、裁判に対する国民の信頼を確保するために有益であるとされているが、これらの憲法の規定と抵触するのではないかが問題となる。より細かくみていくと、以下のようなことがいえる。
    ①裁判員が加わった裁判所は、「裁判所」の具体的内容を定めていると考えられている憲法第6章の内容に沿わないものであり、そのような裁判所は、32条にいう「裁判所」にはあたらないのではないか。
    ②裁判員という裁判官でない者が加わった場合には、裁判員の関与を可能とするため、その諸状況に応じて簡素で短時間の審理となることが予想されており、また、裁判員の欠員がでたなどの事情によって新たな裁判員が加わり、公判手続の「更新」(継続する審理に新裁判員が途中からそのまま加わるという形のもの)が行われた場合に、実質的に証拠調べの一部分しか知らない裁判員が判断することとなるなど、被告人に不利益となるような場合が存在すると考えられるが、このような場合には、もはや37条にいう「公平な裁判所」による裁判を受ける権利は保障されていいないのではないか。
    ③新たな裁判員が加わり、公判手続の「更新」が行われた場合に、実質的に証拠調べの一部分しか知らない裁判員が判断することとなるから、31条保障する適正手続に反するのではないか。
    ④裁判員の加わった裁判所は、76条1項が予想、規定する「下級裁判所」に該当しないのではないか。
    ⑤裁判員制

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    『裁判員制度を導入することに憲法上問題はないか』
    1.裁判員制度
    (1)審議会意見書及び裁判員法によると、裁判員制度の骨子は以下のようにまとめることができる。
    ①対象事件は、法定刑に死刑または無期懲役・無期禁錮を含むなど、一定以上の重大犯罪である。
    ②裁判官と裁判員は、共に評議し、有罪・無罪の決定及び刑の量定を行う。裁判員は、評議において、裁判官と基本的に対等の権限を有する。
    ③裁判員が加わる合議体の員数は、裁判官3名、裁判員6名を基本とするが、一定の要件を満たして争いの少ない事件においては、裁判官1名、裁判員4名という構成も可能である。
    ④裁判員の選任は、選挙人名簿から無作為抽出した者を母体とする。裁判員は、具体的事件ごとに選任され、1つの事件を判決にいたるまで担当する。
    ⑤裁判所から召喚を受けた裁判員候補者は出頭の義務を負い、裁判員となった後は宣誓、審理立会い、秘密保持、品位保持などの義務を負う。
    ⑥被告人は、裁判官と裁判員で構成される裁判体による裁判を辞退することはできない。
    ⑦審理中に新たに裁判員として加わった者がある場合には、公判手続を更新する。
    ⑧評議における判断は、構成裁...

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