英語文学論1の科目最終試験の問題と解答です。合格済み。参考までに。
1. ヴィクトリア朝期から第2次世界大戦までのイギリス文学について述べなさい(3,200字程度)。
初めにヴィクトリア朝期のイギリス文学について述べる。ヴィクトリア女王が即位した1837年から女王が死去する1901年までの64年間を、ヴィクトリア朝期と呼ぶ。そしてこの時代こそ、まさに小説の時代である。この時代の小説は中産階級すなわち大衆を楽しませる娯楽としての要素が強い。産業革命により中産階級に金銭的余裕が生まれ、また識字率が上昇したことにより、これまでの一部上級貴族にしか読まれなかった小説が、庶民にも読まれるようになってきた。そして産業革命の成果としての印刷技術の向上により、小説は安価なものになり、商品として庶民の手に渡るようになったのである。ヴィクトリア朝期の代表的な作家として、最初に名前が挙がるのはディケンズである。彼は天性のストーリー・テラーであった。彼のユーモアとペーソスにあふれる細部の描写や語りの力、個性的な人物の造形は卓越しており、読む者の注意をひきつけてやまない。また、彼は中産階級より底辺の出身であったがために、そうした階級の人たちが何に苦しみ、何を喜ぶかを熟知し...