個別援助技術(ケースワーク)の原則と進め方について述べよ。
個別援助技術の理論家化を進めたF.P.バイステックは、人間関係について次のような7つの基本原理を提唱している。
①一人ひとり異なった個人として取り扱われたい(個別化の原則)、②感情を自由に表出したい(感情表出の原則)、③共感的反応を示して欲しい(情緒関与の原則)、あるがままの人間として取り扱って欲しい(受容の原則)、⑤裁きを受けたくない(非審判的態度の原則)、⑥自分自身で選択し決定したい(自己決定の原則)、⑦自己に関する秘密は守って欲しい(秘密保持の原則)。
この7つの原則に基づいて、利用者一人ひとりを個人として尊重し、援助することが、個人援助技術にとって大切なことである。
利用者に対する社会福祉援助の提供は援助活動の時間の流れにそって一定の手順と方法を持って提供される。この手順と方法を「過程」と呼ぶ。パールマンは、個別援助活動を問題解決の過程としてとらえ、開始期→診断→問題解決を個別援助技術の過程と考えた。
社会福祉援助活動は、援助者と利用者の双方によるさまざまな試行錯誤の過程の中でも進められていく。援助の効果に対する評価と、問題の再分析とが繰り返されることによって、利用者の抱える問題の本質をよりよく把握し、より効果が上がる援助が行われるようになるのである。
以上、個別援助技術の原則について述べてきた。次に、個別援助技術の進め方について述べていく。
インテーク(受理)
個別援助はインテーク(受け入れ)によって開始される。インテークは通常、問題が持ち込まれた時点で面接するという形式で行われ、この際の面接は1回ないし数回で終了するのが普通である。最初の段階で問題がどのような形で持ち込まれるかについては、利用者本人から持ち込まれる場合と、本人以外の家族や隣人、関係者からの相談、あるいは専門機関からの通告等による場合がある。また、入所施設や通所施設の利用者に関しては、援助者側が利用者の問題を発見してアプローチするケースもある。
このように、利用者以外の人が相談を持ち込む場合は利用者本人に問題解決の意志を形成させることも課題となる。そして、援助者が地域の中で問題を抱えながら孤立している個人や家族(利用者)を発見することも重要である。このような利用者に対しては、援助のための地域とのネットワークづくりという間接援助技術の応用も求められるのである。
利用者自身が相談を持ちこんだ場合には、直面している問題について話を聞く中で、インテークの機能にあたる作業がなされる。個別援助におけるインテークの特徴は、この段階から援助の一部が開始されていることである。この点は、医師が診断を下すまで治療を開始しないことと比較して、個別援助技術の特徴となっているのである。
対応時の留意点として、利用者本人が相談を持ち込んだ場合も、本人以外の他人が問題を持ち込んだ場合も、問題解決過程の主役は利用者本人なのだという意識を持つことと、援助者は利用者を専門的知識と技術によって支え、共に問題解決にあたるものでなければならないという事があげられる。なぜなら、インテーク段階での安易な励ましや請け合いは、援助者への過度の依存や問題解決がうまくいかないときの利用者の援助者に対する、あるいは援助者が所属する機関や施設に対する不信につながる可能性があるからである。
援助の開始期
援助は利用者自身の意志に基づいて開始される場合と、利用者本人は援助に対して消極的・拒否的であっても社会福祉機関や施設側の判断で開始される場合とがある。後者の場
個別援助技術(ケースワーク)の原則と進め方について述べよ。
個別援助技術の理論家化を進めたF.P.バイステックは、人間関係について次のような7つの基本原理を提唱している。
①一人ひとり異なった個人として取り扱われたい(個別化の原則)、②感情を自由に表出したい(感情表出の原則)、③共感的反応を示して欲しい(情緒関与の原則)、あるがままの人間として取り扱って欲しい(受容の原則)、⑤裁きを受けたくない(非審判的態度の原則)、⑥自分自身で選択し決定したい(自己決定の原則)、⑦自己に関する秘密は守って欲しい(秘密保持の原則)。
この7つの原則に基づいて、利用者一人ひとりを個人として尊重し、援助することが、個人援助技術にとって大切なことである。
利用者に対する社会福祉援助の提供は援助活動の時間の流れにそって一定の手順と方法を持って提供される。この手順と方法を「過程」と呼ぶ。パールマンは、個別援助活動を問題解決の過程としてとらえ、開始期→診断→問題解決を個別援助技術の過程と考えた。
社会福祉援助活動は、援助者と利用者の双方によるさまざまな試行錯誤の過程の中でも進められていく。援助の効果に対する評価...