産婦のケアを体験して
今回の実習で、2事例の分娩に立ち合わせていただきました。
1事例目は、私が待機室に入ったときには、すでに破水し、初発陣痛から10時間経過していました。産婦さんはとても疲れてぐったりしており、ご主人と実母さんが交代に待機室に入り腰をさすったり、うちわであおったりなどのケアを行っておられました。産婦さんは、『さすって』『やめて』など必死に訴え、陣痛に耐えることに精一杯になっていました。辛そうな産婦さんの様子を見て何をして良いのかわからず、何も出来なくなっている自分が居ました。助産師さんにアドバイスを頂き、足をさすったり、臀部を支えたり、陣痛間隔を測ったり、言われるがままに動くことに精一杯でした。
助産師さんは、訪床する度に休息の仕方、陣痛時の呼吸法を指導し、また、腹部を触りながら張りの状態で産婦に『もうちょっと。ほら楽になってきたよ。』など、産婦の気持ちに共感し、また豊富な知識から、『そろそろいきみたい感じになってきた?』『この辺痛くなってきた?』などと産婦が答えやすいようリードする声かけで分娩の進行状態を把握し、内診を行い、経過を確認し、『だいぶ開いてきたね。』『良い下り物でてるよ。』などと安心させるような声かけを行っていました。看護において知識は欠かせないものだと改めて痛感しました。
時間が経ち、産婦さんが必死に児を産もうとしている姿を見て、私もその産もうとしている力を支えなければならないと感じました。すると自然に呼吸をリードするようになり、産婦の汗に気付き、タオルで汗を拭いたり、共に呼吸を行っていることで口の渇きを感じ、水分の摂取を進めることができたり、また産婦のちょっとした力の入り具合が見えるようになり、産痛の緩和のケアを瞬時に行えるようになりました。分娩時の援助には、知識や技術はもちろんのこと、産婦の価値観、主体性、ニーズを尊重する人としての倫理観、も大切であると学びました。
分娩室に入る事になり、夫が『頑張って来いよ。』と声をかけました。産婦は夫の手を力強く握り返し離しました。分娩に立ち向かう意思表示と、孤独になるような寂しさが伝わりました。家族の支えの心強さを学ぶと共に、少しでも家族の代わりになりたいと思いました。しかし、分娩室に入ってからは助産師のリードに合わせてただただ着いていくのが精一杯でした。唯一、家族のように側にいて一緒に達成感や喜びを感じることができたことが私の学びでした。
2事例目は、きちんと情報収集をしないままいきなりの立会いでした。1事例目の産婦とは異なり、産婦は何も言葉にせず、陣痛が来るたびに耐えている様子でした。この時に妊婦の孤独感を改めて実感しました。家族の立会い、支えはとても大きいものでした。そして、家族には訴えられる辛さがあっても初めて会った学生には伝えられないようでした。そして『この辺ですか?』と腰をさすりながら聞いても声を出すことも、うなずくことも、産婦は疲れて出来なくなっていました。信頼関係を築くということが分娩時にケアを行うにあたって大切であるとは解っていても陣痛が始まってから来院して短時間で信頼関係を結ぶということの難しさを学びました。私は、産婦が疲れていてコミュニケーションが取れなくても出来る限り共感しようと思い付き添いました。腰をさすり、声をかけ続けていると『便が出そう』と言いました。1事例目の経験により臀部を支えると楽になることを学んでいたのですぐに『お尻押さえときますね。大丈夫ですよ。』と援助を行いました。するとと、産婦は『ありがとう。』と言い、初めてのコミュニケ
産婦のケアを体験して
今回の実習で、2事例の分娩に立ち合わせていただきました。
1事例目は、私が待機室に入ったときには、すでに破水し、初発陣痛から10時間経過していました。産婦さんはとても疲れてぐったりしており、ご主人と実母さんが交代に待機室に入り腰をさすったり、うちわであおったりなどのケアを行っておられました。産婦さんは、『さすって』『やめて』など必死に訴え、陣痛に耐えることに精一杯になっていました。辛そうな産婦さんの様子を見て何をして良いのかわからず、何も出来なくなっている自分が居ました。助産師さんにアドバイスを頂き、足をさすったり、臀部を支えたり、陣痛間隔を測ったり、言われるがままに動くことに精一杯でした。
助産師さんは、訪床する度に休息の仕方、陣痛時の呼吸法を指導し、また、腹部を触りながら張りの状態で産婦に『もうちょっと。ほら楽になってきたよ。』など、産婦の気持ちに共感し、また豊富な知識から、『そろそろいきみたい感じになってきた?』『この辺痛くなってきた?』などと産婦が答えやすいようリードする声かけで分娩の進行状態を把握し、内診を行い、経過を確認し、『だいぶ開いてきたね。...